「お前ら、まだヤってないのか」 「まだっすよ。さっき、やっと告白してオーケーもらったんで」 「ほう？　お前にしちゃ、随分長かったな」 「オジさんと違って、俺は正攻法で爽太を落としたかったんで」 「俺のだって正攻法だろ？」 「いや……、『自分の描いた絵本にファンレターをきっちり便箋５枚で送ってくれる男性ファンがどんなやつかを見たいがためにサイン会開いて、挙げ句その人に一目惚れして捕まえて帰りがけにラブホイン＆妻と離婚』って……、ぶっちゃけ引くレベルっすよ」 「俺にとっては正攻法だ」 「この話、爽太には何て言ってあるんすか」 「ああ？　『スーツをピッシリ着て女だらけのサイン会にやってきた智紀が可愛すぎた』って言ってある」 「……オジさん、詐欺師みてぇっすね」 「うるせえ。……あ、そうだ。ほれ」 「なんすか、この鍵？」 「電話台の下の引き出しの鍵だ」 「？？」 「ヤるときはそこにあるもんちゃんと使えよ」 「……！！　オジさん、最高！！」 「もう要はねぇだろ。仕事すっから早く出てけ」 「はーい」