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第15話
ホームの1番端のベンチに座り、話をした。
手は握られたままで。
「...きぃ。好き」
「...」
「好き。すげー好き」
渋谷はさっきから、好き好き言ってくる。手を握る力が強くて痛い。...でも、離せない。顔をあげれない俺。
「好き。大好き」
必死な渋谷の声も、段々と落ち着いたいつもよりも少し甘さを含んだ声になる。
「きぃ」
離れていた距離がいつの間にか縮んで、すぐそばに渋谷の温もり。
「きぃ」
耳元で聞こえる糖度たっぷりの声。
腰がゾワって震えた。
「...っ!」
「大好き」
ちゅっ。
こめかみに、柔らかい感触。
「...んっ、」
「...かぁーわいい、きぃ」
「ば、ばかっ。さ、触んな」
「だって きぃ、さっきから喋ってくれないんだもん。」
「は、」
「ん?」
握っていない方の手で、俺の髪の毛を弄りながら渋谷は俺の顔を覗き込む。
「恥ずかしいんだよっ!ばかっ!」
「...きぃ、可愛い過ぎだわ」
頬を赤らめた渋谷の顔が近づいてくる。
「ば、ばかっ!人に見られるだろ?」
「...見られなきゃキスしていいの?」
渋谷の言葉を理解して、一瞬で自分の顔が熱くなったのが分かった。
多分、真っ赤だ。
「好きだよ、きぃ」
「...ばか」
熱い瞳で見つめてくる渋谷は、頬を赤らめて俺の唇を塞いだ。
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