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第18話
グッと俺を抱きしめる渋谷の腕に力がこもる。それに思わず体が強ばってしまった。
「はぁ?誰だよ、それ」
「えー?ひどーい。舞、渋谷と付き合ってるって言ってたしー」
「可哀想~。彼女もやめときなよ、こんなチャラ男~」
きゃははと笑う彼女たちに、可哀想と思われてる友達が可哀想だと思った。
そして、イラつく俺。
顔を上げることができないから、抱きついている渋谷の背中をつねる。余分な肉なんてないから少ししかつまめないけど。痛いと思うけど。
「いてっ!...こら」
軽く窘める程度で、渋谷は俺の髪をつんつん引いて甘く抗議した。
面白くなくて、ぎゅうぎゅうと強く抱きついて圧をかけるけど、渋谷は気にすることなく俺の頭を撫でている。
「...ねぇ。マジなの?」
その様子を見ていた女子の1人が信じられないというように聞いてきた。
「あ?」
すでに渋谷の興味は彼女たちには無く、まだ居たのかと態度が語っている。
「...渋谷、本命作らないって...」
「誰とでも遊びだって…」
「やりちん...」
「おい!誰だ?最後の!」
「...ぶぶっ!」
「笑うな」
思わず笑ってしまい、ぶーたれた渋谷に頬を軽く抓られる。すぐに離れた手は優しく抓った頬を撫でるから甘さに眩暈がする。
いつもと明らかに様子の違う渋谷に、彼女たちはお互いの顔を見合わせて戸惑っている。
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