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第22話

「まじー?誰?うちの学校なんでしょ?みか?陽子?光希?」 マシンガントークとはこの事か。 口を挟むスキもない。見事だ。女子ってすごい。 「違う。もっと可愛い」 「えー?春香?敦子?美波?」 「ちげー。もっとスペシャルウルトラ可愛い」 「へぇーっ!渋谷って本命いたんだ?」 のらりくらりとかわす渋谷の側で、河田が女子のテンションに釣られたのか興奮気味に聞いてくる。 「昨日みっこ達が駅で見たんだって!うちの制服着た女子とイチャコラしまくる渋谷!吐きそうな程甘いらしいよ!」 「昨日...?」 「うちの制服...?」 何か引っかかる様子の河田と山中。2人して首をかしげている。 ...やばい。 焦る俺の隣で根津が笑っていた。 「教えねー。勿体ないもん」 ニヤリ、と渋谷も笑った。 そう言って俺の肩に腕を回して抱き寄せるとつむじに唇を落とす。 「...っ!!」 「「あっ!!!!」」 河田と山中が同時に声を上げる。 「ちょっと!渋谷、小泉構ってないで教えてよ!!」 「え?え?え?え?え?」 「...まじでか?」 色んな声が聞こえてきて、俺は渋谷の腕の中で両手で顔を覆って隠した。 「良かったじゃん、希壱」 根津の優しい声に、ようやくうなづいて俺は泣きそうな、笑い出したいような複雑な心境だった。 「好きだよ、きぃ」 耳元で囁かれる渋谷の愛の言葉に、俺はノックアウトで腰が砕けた。 やっぱり渋谷は意地悪だ。

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