3 / 43
1-1side麗
─────あの日、消えかけていた僕の命を見つけてくれたのは、しりゅうさん。
僕の大好きな大好きな、飼い主さん。
一人の少年がベッドの上で目を覚ます。
くりくりのその目に在るのは、真っ赤な瞳。そしてその瞳を縁取る真っ白な睫毛。
「しー...」
少年がまだ声変わりしていない声で誰かを呼ぶ。その視線の先は不安そうに宙をさ迷っている。
「麗...?どうした?」
《しー》と呼ばれて、掠れた声で返事をしたのは麗の隣に寝ていた男、東雲獅琉(シノノメシリュウ)。
「んん...しー、だっこ...」
麗のお強請りに無言で麗の腰を引き寄せ、抱きしめる。
麗は満足そうに獅琉の胸元に鼻を寄せ、再び寝息を立て始める。
飼い主と飼いうさぎ、二人の朝。
ともだちにシェアしよう!