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Ⅰ どうして、こんな出逢いしかなかったの?⑤

「ブラックの!ブラックの眼が紅くなってしまったのは、俺のせいっ?」 「違うね。リンリーのせいだ」 「俺のせいでっ!」 「君に私の眼を紅く染める能力があるのかい?君のせいじゃない」 「ブラックが俺をかばったから」 「君はリンリーから市民を守った。君を守った私の判断は、間違っていないよ」 私の言葉は、君をひどく傷つけた。 わかっていても、 伝えなければいけない言刃(ことば)がある。 「君ももう、ここには来ないでくれ」 「……なん、で……」 君の唇がみるみる血の気を失っていく。 「俺が嫌いだから?」 「違うね。少なくとも君の体は好きだよ。未練はある」 「体だけ?心は?」 「おかしな事を言うね。君は私の愛人だろう。私の性器を、可愛いお口とつぶらな雄穴で慰めるのが君の務めだよ」 「愛してるって言ってくれた……」 「そりゃ、言うよ。君の締まりがよくなるからね」 涙が止まらない。 こぼれ落ちる雫を、私の手は拭えない。 「もう、いいかな?」 決めたんだ…… 君には二度と触れないよ 「君が出ていかないのなら、私が出ていこう」 「俺が未熟だから、ブラックは俺を捨てるのッ」 背中に突き刺さる声に、靴音が止まる。 偶然にしては出来すぎている。足を止めたここは、ちょうどリンリーが消滅した床だ。 「……迎えだよ」 黒いマントの下から取り出した銀の仮面を装着する。 「ここは我々変態レンジャーの城だ。基地内で、それも本丸の司令室に、なぜリンリーが現れる?」 笑った口許は、君には見えない。 「私を迎えに来たんだよ」 最後に教えてあげよう。

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