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Ⅱ 運命を閉じ込めて②
ザアァァァァー
雨が地面を叩く。
木の葉を抜けて、枝を縫って、大粒の雨音が地面に跳ねる。
ザアァァァァー
違うね………
雨に濡れた唇は独り
『君を捨てるんじゃないよ』
私は、
『君の居場所をつくったよ』
誰にも聞こえない声を紡ぐ。
『レッドがいる。ブルーもいる。グリーンも……』
イエローも、パープルも、ゴールドも、
茜も、スカイブルーも、オレンジも、パールホワイトも、ダークマルーンも、
アクアマリンも、オニキスも、萌黄も、クリスタルも、レインボーも、チェリーブロッサムも、ブーゲンビリアも、サフランも、グレーも……
皆がいる。
皆が君の家族だ。
(君はもう、ひとりじゃないよ)
……「だから、ブラックが今度はひとりになるのかッ?」
声は幻じゃない。
雨を割って、鼓膜を震わせた声は……君!
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