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Ⅵ 嘘つきの誠意② 【完】
「じゃあ、ブラック。ちゃんと寝てね。俺、任務に行ってきまーす」
「行ってらっしゃい、ピンク」
君を送り出して、なにをしようかな。
ひとりぼっちのこの部屋で。
ちゃんと寝る約束したけれど、私は嘘つきなんだ。
レンジャー隊の戦闘を有利に進めるための例のアレの設計を進めるか。
各部署の配置も見直さなければならないな。
司令塔たる私の務めだよ。
皆は私の家族で、君は大切な恋人以上の人だ。
この部屋はひとりぼっちじゃない。
君との未来が詰まってる。
引き出しの中、隠していた紙を取り出した。
設計図じゃない。
いや。ある意味、これは設計図か。
私は嘘つきなんだ。
だけど、嘘はつかないよ。
この紙の中ではね。
君といつか、名前を並べられたらいいと思って書いたんだ。
私の本当の名前は、ここにあるよ。
『婚姻届』
恋人以上を終わらせて、家族になろうか。
計算できない未来も魅力的だ。
「さて。指輪はどれがお好みかな」
願いは、風に乗って……
鳥たちの囀ずりが鐘を鳴らした蒼穹 へ
続いていく
〈おしまい♪〉
私達の未来の設計図だよ。
Meine liebe Frau ……
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