19 / 19

Ⅵ 嘘つきの誠意② 【完】

「じゃあ、ブラック。ちゃんと寝てね。俺、任務に行ってきまーす」 「行ってらっしゃい、ピンク」 君を送り出して、なにをしようかな。 ひとりぼっちのこの部屋で。 ちゃんと寝る約束したけれど、私は嘘つきなんだ。 レンジャー隊の戦闘を有利に進めるための例のアレの設計を進めるか。 各部署の配置も見直さなければならないな。 司令塔たる私の務めだよ。 皆は私の家族で、君は大切な恋人以上の人だ。 この部屋はひとりぼっちじゃない。 君との未来が詰まってる。 引き出しの中、隠していた紙を取り出した。 設計図じゃない。 いや。ある意味、これは設計図か。 私は嘘つきなんだ。 だけど、嘘はつかないよ。 この紙の中ではね。 君といつか、名前を並べられたらいいと思って書いたんだ。 私の本当の名前は、ここにあるよ。 『婚姻届』 恋人以上を終わらせて、家族になろうか。 計算できない未来も魅力的だ。 「さて。指輪はどれがお好みかな」 願いは、風に乗って…… 鳥たちの囀ずりが鐘を鳴らした蒼穹(そら)へ 続いていく 〈おしまい♪〉 私達の未来の設計図だよ。 Meine liebe Frau(マイネ リーベ フラウ〈私の愛する妻〉)……

ともだちにシェアしよう!