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はじめてのちんリウム

「ほら……もっとちゃんと見せて?」 ピンクは股間を押さえていた手をゆっくりと退けた。 「ああ……かわいいよ、ピンクのちんリウム」 闇の中ぼんやりと浮かび上がるそれを見て、ブラックは頬を緩めた。 「あ、あんまり見ないで」 「どうしてだい?」 「だって……おっきくなっちゃう」 ピンクは太腿をもじもじと擦り合わせた。 憧れの人に舐め回すように裸体に視線を這わされ、あまつさえ黄色い男根を凝視されているのだ。 なにも感じないわけがない。 この光るコンドームだって、緊張で手が震えうまく装着できないピンクをそっと後ろから包み込み手伝ってくれたのは、ブラックの逞しく優しい手だった。 その淡い熱を思い出しそうになり、ピンクは下唇を噛む。 「ピンクのちんリウムは俺に見られただけでおっきしちゃうのかい?」 「だ、だって……」 ――見てるのがブラックだから。 ピンクの声にならない思いを感じ、ブラックは笑みを深めた。 「かわいい、ピンク。おいで」 見えない糸に引き寄せられるかのように、一歩、また一歩とブラックに歩み寄る。 変態レンジャーの出動中だって、こんなに近づいたことなどない。 あっという間にお互いの吐息が絡み合いそうなほど距離が縮まる――と、 「あ!」 唐突にペニスを握られ、ピンクは声を上げた。 「ほんとだ、膨らんじゃったな」 「ブラックだって……」 「こんなにかわいいピンクと一緒にいるんだ。当然だろう?」 ブラックの指が頬を伝い、ピンクの身体がふるりと揺れる。 心地良さに閉じかけていた瞼を押し上げ、ピンクはゴクリと喉を鳴らした。 「……すごい」 「ん?」 「ブラックの……おっきい……!」 ブラックの性器は、完全に起ち上がっていた。 猛々しく反り上がり、レモン色のゴムにぎちぎちに包まれているというのに、竿裏の筋さえもくっくりと浮かび上がっている。 「ピンク、一緒にフリフリしよう!」 「フリフリ……?」 「こうやって腰を振って、ちんリウムパーティーだ!」 ブラックは、思い切り腰を振った。 プルルン、プルルン。 グロテスクに光るそれが、闇の中を踊る。 「ほら、ピンクも振るんだ!」 「う、うん」 なんだかよくわからないまま、ピンクも腰を振り始める。 小ぶりなペニスが、暗闇に残像を描いた。 ブラックがその巨根を自慢するかのように、ゆっくりと円を描く。 すぐに消えてしまう軌跡を追いかけながら、ピンクは夢中で腰を動かした。 「楽しいだろう?」 「うん!」 「プルルン、プルルンだ!」 「プルルンプルルン!」 「もっともっとだよ、ピンク!」 「プルン、プルンッ!」 「そうそう、その調子だ!素敵だよ、俺のピンク!」 ふたりは、夜が更けても夢中でちんリウムし続けた。 ***** 腰が痛い。 わずかに浮上した意識の中でまどろみながら、ぼんやりとその理由を考える。 寝惚けた頭では少し時間がかかったが、やがてブラックと過ごした熱い夜の記憶が鮮やかに蘇り、ピンクは赤面した。 乱れたシーツが、昨夜のふたりの激しさを赤裸々に物語っている。 ピンクはぬくもりを欲して寝返りを打ったが、求めた影はそこにはなかった。 「ブラック……?」 抜け殻のように象られた布団に手を入れると、ほんのりと暖かい。 つい先ほどまでかの人がそこに寝ていたのかと思うと、胸が締め付けられた。 こんな時、どうしようもなく実感する。 自分はどうあがいてもブラックの愛人以上にはなれないのだ――と。 たったひと夜の熱は、次の日には跡形もなく消えてしまうのだ。 「ブラック……」 ピンクは、無造作に捨て置かれていた黒い衣服の塊に手を伸ばした。 服を着る時間も惜しいほどに、本命の元へ帰りたかったのか。 ピンクはブラックのパンツを顔に押し付け、スンスンと鼻を鳴らした。 生々しい雄のにおいが、鼻腔に流れ込んでくる。 「ブラック……好き……」 決して伝えられない思いを、この時ばかりは口にした。 「好き……好き……」 肌触りのいい布が、濡れた眦から雫を吸い取っていく。 溢れそうになる嗚咽を堪え震えるピンクの背中に、影が落ちた。 「なにかわいいことしてるんだ?」 「ブラック!」 「ん?」 「帰ったんじゃ……」 ――レッドさんのところに。 そう言いかけて、ピンクは口を噤んだ。 「シャワーを浴びてただけだよ。ひとりで寂しくなってたのか?」 いつになく優しい声音に耳をくすぐられ、ピンクの涙腺が崩壊した。 「バカだな、ピンクは」 丸い珠になってぽろぽろ零れるピンクの涙を拭い、ブラックは腰を揺らした。 柔らかい陰茎が腹と脚の間を跳ね、ペチペチと音が鳴る。 「俺が一緒にちんリウムするのはピンクだけ、だろ?」 「それは……」 ――他のみんながしないだけじゃ……? ピンクは続きを飲み込み、ただコクリと頷いた。 「……うん」 「それにさすがに裸じゃあ帰れない、な?」 「ご、ごめんなさい!」 いつのまにか腕の中にしっかりと抱きしめてしまっていたキノコ柄のパンツを慌てて差し出す。 ブラックは、まるで大人が子供にそうするように大きな肉棒でピンクの頭を撫でた。 ピンクの胸が、ツキンと痛む。 わかっている。 ブラックは、変態レンジャーみんなのもの。 ブラックには本命がいて、自分はただの愛人。 それでも、ブラックと一緒にいられるなら。 ブラックが自分と一緒にちんリウムしたいと思ってくれるなら―― 「ピンク、今夜も一緒にちんリウムパーティしような?」 「……うん♡」 fin

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