5 / 50

サボり魔の三年生

コートの隅でボーっとのびている。 ガスッ!! 「いって!うわっ痛ってえー!」 「休憩時間はまだ先のはずだが根屋」 「新田・・・痛てえよ。容赦ないボール当てるなよ」 根屋にコントロールよくボールを当てたのはキャプテンの新田だった。 「んー。俺ちょっと貧血で休憩~。新田PGやって」 「キャプテンに上から目線で指示とはたいした三年生様だな」 「いやいや、同い年に何言うの?それにIH終わったから 夏休み終わったら新キャプテンに引継ぎだろ?」 「新キャプテンか、柴崎にやらせたかったんだがな」 柴崎の名前が出て根屋の体がピクッと無意識に反応した。 新田は根屋の顔をちらりと見て 「お前の貧血休憩は5分間だ。さっさとコートに戻れ」 「根屋先輩、どうかしましたか?新田キャプテンがPGやっていますけど?」 「柴崎・・・何でもない。戻る」 『なんでお前はそんなに簡単にONとOFFの切り替えができるんだ?』 「お疲れ様ですー」 部活が終わると柴崎は女子マネと一緒にタオルを配り、コートの片付けに入っていく。 根屋はただタオルで汗をぬぐうだけだった。 「新田ー。俺片付け今日パス」 根屋はすたすたとコートを出る。 「何やってんだよ根屋!お前最近少し変だぞ?」 止める新田の声も聞かず、根屋はすたすたと 更衣室に向かい誰よりも早く学校を後にした。 「ふー。あれ?キャプテン、根屋先輩は?」 柴崎がコートに根屋の気配が無いことに気づいた。 「おー、アイツサボって帰りやがった」 「あ、そうなんですか」 公園の隅に置かれたベンチに座り根屋はうつろに空を見ていた。 「・・・なんか。わかんねえよ柴崎」 「お前のことがわかんねえ・・・」 「俺のことが好きなのはわかった。すごく優しくしてるのもわかった。 それに俺に・・・触ることも好きだってわかった・・・」 「でも、それでどうなんだ?俺はあと半年で卒業だ。 だからそれまでの思い出作りか?記念にでもしたいのか?」 「俺は・・・お前に変えられてしまった気がするのに お前はどうしたいんだ?どうするつもりなんだ?」 「・・・俺はどうしたいんだ?・・・」 000

ともだちにシェアしよう!