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柴崎の彼女①
「あー。寒くなってきたなあ」
ジャージのファスナーを上まで上げて根屋は休憩していた。
「根屋先ー輩!」
「ん?田村じゃねーか、なんか用か?」
根屋に話しかけてきたのは女子マネージャーの田村だった。
「ちょっとお伺いしたいんですけど、根屋先輩って
よく柴崎君と一緒の事多いじゃないですか?」
「ん、あ、ああ、帰り道が近くてな・・・」
「実はー結木ちゃんが柴崎さんに告りたいみたいなんですけど、
彼女とかいるって、先輩知りません?」
「んー悪い。いつも大体バスケの話だからなあ・・・」
「あ、そうですよね。すみません休憩中。失礼します」
「おう」
そう言って田村は女子マネの中に戻っていった。
『・・・彼女?いるわけねえよな。アイツが惚れてるの俺だろ?
それともちょっと仲のいいオトモダチって奴がいるのか?』
『もしいても俺には絶対わからないように隠すだろうけどな!』
イラついてコートに戻る。
「根屋ー!!お前集中してんのかー!」
案の定、新田に怒鳴られる。
「どうしたんですか?五月さん。後半ちょっと調子が悪そうでしたよね」
「あーまー、ちょっと考え事」
『お前の女の事考えてたなんて言えるか』
「五月さん、今度時間とれる?」
「なんだよいきなり」
「週末、親が結婚記念日旅行に行くんです」
「あ?・・・姉ちゃんは?」
「いつものアレです。でも今回テンション高くてオールかも」
「合コンでオールってお前の姉ちゃんホントすげーな」
「まあ、遊び半分で行ってますからね。友達の家にでも泊まるんじゃないですか?」
「きてほしいな。五月さん」
「・・・ん。俺もお前に話がある」
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