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準決勝

翌日、控室に入ってきた部員はピリピリしていた。 今日は何としても勝たなければならない。 勝って明日の決勝に行くんだ。 それは根屋にとっても同じことだった。 いつもよりシューズのヒモをきつめに縛る。 「新田さん」 「いや、お前が・・」 「最初は新田さんの方が・・」 2人またコソコソ話している。 根屋はそれが面白くない。 「お前たち、今日は準決勝だ。決勝じゃない。 少し浮足立っていないか!もう決勝に出ているつもりか! まずは目の前の相手をよく見ろ!柴崎、続けろ」 「はい。新田さんが言った通りです。今回の相手は、 去年決勝へ行ってる湘洋です。過去のデーターと、 昨日のぞいた試合を見た限り、間違っても快勝はありません。 今日は最初から根屋先輩に入ってもらって、流れによって 第2Qから新田さんに入ってもらうことも視野に入れています。 フルメンバー三年生も考えられるのでよろしくお願いします」 「二年を外す?」 「マジかよ」 空気はさらにひりついた。 『だから試合見に行ってて、途中いなかったのか』 「ごちゃごちゃうるせーなあ!とにかくやるしかねーんだろ?」 根屋が怒鳴り込む。 「おい柴崎、ちょっと顔かせ。新田、時間にはコートに行く」 「え?は?」 とまどう柴崎の腕をつかみ、 バン!! 根屋は控室を出た。

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