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どしたの子猫ちゃん?(R)
「どうかしましたか根屋先輩?」
「うるさい。黙ってついて来い!」
バン!!
「??」
俺達が入ったのは男子トイレだった。
しかも個室。しかも2人で。
耳元でこっそり声をかける。
「どうしたの五月さん?もうすぐ、しあ・・・ん」
俺の口はふさがれた。
『どうしたんだよ五月さん。ウインターカップ入ってからちょっと甘えすぎだよ』
『神経張りつめてるせいかなあ?何かバランス崩しているのかなあ?』
糸の引いた口から出た言葉は、きゅっと抱きつきながら、
「「さん」はいらない」
「試合行かせて?」
「えっ?」
そういって根屋は全身をこすりつけるように、柴崎に抱きついた。
「わっ、うわー!こ、これは試合に出せない」
「五月!どうしちゃったの?もうすぐ試合!」
根屋は柴崎に抱きついたままだ。
「んもー。いい五月?ジャージを噛んで?思い切り。
絶対、声や、音を出さないでね!」
ジャージの上からそっと触る。
『げ、MAX近いよ!』
『もう時間が無いっていうときにこの子猫ちゃんは!』
急いでユニフォームの中に手を入れる。
ビクビクッと根屋が震える。
柴崎は手を上下に動かした。
体が小刻みに揺れているが、目を合わせたら少し瞳が潤んでいた。
・・・わかったよ。俺は手を動かすのをやめ、
ひざまずいて、五月を舌で慰めてやった。
舌で舐めあげる。吸う。軽く歯を当てる。
五月の足がガクガクと震え、俺の頭を触りだした。
腰が柴崎に差し出され、噛んだジャージから熱い息が漏れる。
・・・近いな。
柴崎は思い切り吸い、歯で先端をこする。
「ふっ・・うっっっ・・」
腰から落ちそうな根屋を支え、慌ててトイレットペーパーを口にする。
「大丈夫なの?五月。これから準決なの・・」
バン!!
扉を開け放って根屋は出ていった。
「えー?ホントに読めないんだけどー?俺の子猫ちゃん」
・・・とりあえず、うがいして戻ろ。
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