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小前と案田
もしかしたらだけど、高校生で一番楽しいのって、二年生なんじゃないかな。
一年生の時は面倒な気遣いで疲れる。三年生はきっと受験で忙しくなるんだ。
二年生は、その間にたくさんの行事があるから。きっと一番呑気で、一番考えやすい時期だ。
「んー、どこだー……?」
俺の名字が小前 っていうんだけど結構、驚かれるよ。特別カッコいいわけでもないし、特別ブサイクというわけでもない。
普通で、普通過ぎる、逆に普通なのが普通じゃない普通に生きてきた俺からすると――名字ごときでそこまで驚かれる経験が人生の中でトップレベルの普通外だ。
あとは、普通。今まで平凡に過ごしてきたよ。
「あとはここかー……」
記憶を探りさぐりで最後に辿り着いたのは誰もいない教室。誰ひとりいないこの場で、ふと考えついた意味のない高校生活について。けど周りを見てても、二年生が気楽なのかな、って思うから無限ループって、怖い。
携帯、ケータイ、けーたい……と、自分の席である場所にしゃがみこんで教科書など入れる隙間を覗き込む。――ない。
だとしたら、あとはどこだろうか。
普通の人生を歩んできたとはいえ、友達はそこそこ。まあ、俺は携帯ぐらい一日二日と、なくても不便じゃないけどさー……。やっぱ先生に事情話して見付かったら預かっててもらおうかな。
夕日に染まる教室は目が痛くなるほどのオレンジ。ここまで強烈な西日を射されると綺麗を通り越して困るな。
若干、眠い目を、擦る。
「……ダメだ」
腹減ってきたし、職員室に寄って家へ帰ろう。
一つの溜め息を漏らしながら立ち上がり、置いていた鞄を手に持つ。その瞬間、教室の出入り口の引き戸が、ガラガラガラッ!と激しい音を立たせながら開いた。あまりの音に体がビクッと反応して、ついそこを見てしまった。
うおっ……案田 がいる……。
案田、とは。
痛んでいそうな金髪頭に、睨まれたら石化するんじゃないかと思う切れ目。それでいてスッとした高い鼻に形の良い唇は、顔がすごく良い彼だ。
ただし、素行が悪いと評判高く……実際、数々の問題を起こしてきた案田はまるで一匹狼のように行動している。たまに来る授業もほとんど寝ている体勢で、だけど注意出来ない教師もいるからそのままが多い。
逆に、注意する教師がいると、一言の『あ゙ぁ?』で全てを終了させちゃう、そんな問題児――案田が、いる。
まずいな……俺がここにずっといたらなにかされそうだ。しかし、あからさま過ぎる逃げ方もどうかと……。唯一の友達である、相津 と来ればよかった。
なんで俺は今、一人なんだろうか。――焦る。
そんな俺に知ってか知らずか――たぶん知らない方が正しい――案田と一瞬、目が合うものの、無視されて歩き出した。
びっくりした。あんな大胆にドアを開けるから、荒れてて喧嘩吹っ掛けられるのかと思ったよ。社交辞令でもいい。喋った事はないが、ここはなにか話しかけて、帰るとしようか。
「よ、よう、案田」
「……」
教室に、響き渡る俺の声。
案田は聞いてくれたのか、それとも耳に入れずに聞かなかったのか、わからないが自分の席につくと机の上に椅子をひっくり返して、乗せる動きをした。
まるでどこかに運ぶような、そんな感じ。そして、案田が椅子ごと机を傾けた時、カタンッとなにかが床に落ちた音がした。
紛れもない、俺の携帯だ。
「……」
「あ」
でも、どうして案田の席にあったんだ?……どうでもいい、どっちにしても俺は案田に話しかける運命だったんだ。
恐怖を押し切って再度、話しかけようか。
「案田、それ悪い。俺の携帯なんだ」
「……」
「……っ」
ぎろり、と睨まれるその目に俺は思わず固まりそうになる。――が、これは睨まれたんじゃないと気が付いた。ただの西日のせいで、睨むような目付きに変わったんだ、と。
そうだよな、眩しいよな。俺も眩しいところだったんだ。夕日って、沈む瞬間が、一番なんだよな。
俺は案田に近付き、手を伸ばしながら携帯を拾うと同時に、また話す。
「案田、その机どこに持っていくんだ?一人席替え?ははっ」
「……」
「……ん?」
笑ったのがまずかっただろうか。我ながら面白い事を言ったつもりだったんだが……自分の発言で笑ったことなんだけどなー。
拾おうとした手の行方先はまだ不明。いや、携帯に伸ばせば済むはずなのに、不明のままもう一度、曲げていた腰を真っ直ぐにさせる。
近くで見ると本当に良い顔をしている案田。
夕日に照らされてるからか、余計にそう思う。
普通過ぎる顔の俺とは何倍も違う顔立ちに、行方不明だった手の先が、案田へと行ってしまいそうな――そんな、引きこまれる顔。
「……ほら」
初めて俺に口を開いた案田は、確かこんな一言だったような気がする。
「ん、ありがと」
俺の代わりに携帯を拾って渡してくれた案田。目の前に出されて、あとは俺が引き取るしかない、俺の携帯。
「案田の声、すげぇ良い声だな」
「良い声?」
「低過ぎないし、高過ぎない。だからか聞いてて落ち着くっつーか」
「……へんなやつ」
そうかな。
身長もそこそこあって、足だって長くてスタイルが良い。案田ってば、かなり恵まれてて、ちょっと羨ましい。
「なあ、なんで机を運ぼうとしてんの?」
今度こそ、わりと真面目に聞いてみたこと。みんなより使ってないせいか、周りの机や椅子より綺麗だ。
俺の携帯が出てきたところに教科書なんか入れた事あったか?
「……」
「どっか、いなくなんの?」
「……」
ジッ、と。
俺は案田の目を、案田は俺の目を、ずっと見続ける。
「……おれ」
見続けたまま、案田の目は少しずつ、キラキラと輝きだした。
「俺さ」
「うん、なに」
――退学されるんだって。
感情のない、ただただ言わされた感満載の、言葉。
「……」
「……ふーん」
案田の目は、キラキラと輝きだしたんじゃない。歪みはじめたんだ。夕日が差し込むその目の中に、溢れ出てくる体液という名の涙。
机の端と端を持っていた手で伝ってくる水を拭いながら、しゃっくり。
どうした?
急に泣き出して。
「ふっ、ひッく……」
「案田」
「はじめて、だったんだっ」
痙攣する体内のどこかでも必死に喋ろうと口を動かしている。手で目を覆う姿に、丸見え状態の唇。
「学校で、おれに話しかけてくる奴なんてっ」
「うん」
ふるふると震えてる。
「ほ、んとはっ、ヤだ……ッ、辞めたく、ねぇ……!」
「うんうん、そうか」
案田に――。
「さみしい……っ」
「うん……」
胸が締め付けられたような気がした。
一匹狼じゃなくて、ただ友達がいないだけだったんだなぁ。
「案田、そうかそうか」
ぎゅ、と、泣く案田を抱き締める。
「ひっく、んん……小前ぇ……っ」
「そうかそうかー。そうかー」
驚いた。案田は俺の名前を知っている。
俺の背中に回ってきた腕に、俺の肩でわんわん泣く案田。身長差はそんなに変わらないはずなんだけど。
「んっうぅ……俺、なにもっしてない……」
「そうかそうか」
「退学になるほどなにかやった心当たりなんて、ないんだ……」
「そうか」
「でも……誰も信じて、くれないっ」
「そーかー」
かわいいな。もうほぼ初めてのお喋りなのに、かわいいな。初めて話しかけてきた相手にこんなにも縋るのか、案田。案田は、寂しさのあまり、縋るのか、あんた。
ふーん。
「あんた、可愛いなぁ」
泣きに泣きまくる案田の、おでこに、口付け。
リップ音なんて、さすがにそこまでカッコいい事は出来ないからほんの少しの、ちゅっ、という可愛らしいものなんだけど。
それでも驚くのが、案田だ。いや、驚いてもしかたがない。というより、正しい反応?
「……え、おま、え……?」
「ん?」
すすっ、と鼻をすする。そんな案田にもう一度、キス。
今度は目元に。
「小前、小前ってばッ……」
「知らない?あぁ、友達いないんだもんな?」
「はっ、はぁ?」
しゃっくりは、驚きで止まったらしい。でも涙はまだ流れている。その綺麗な目からどんどんと、伝ってくる。濡れた頬が夕日のせいで、輝きに満ちる。
「ん、あんた可愛いよ」
「ちょっ、なに、おまえ……」
「かわいっ」
さらにギュッと抱きしめて距離をなくす。最初からあってなかったような距離を、詰めに詰めまくる。
ちゅ、ちゅ、て。良い顔に、顔中に唇を落として触れていく。
可愛さに歯止めがきかなくなってきて、案田も本気を出せばいいのになかなか俺を押し退けないからさらに、ちゅっちゅっ、て。
「んんぁ、はぅっ」
「案田」
――やめろよ。
そんな言葉が……まったく、いっさい、ない。
唇に口付けをして、舌を入れては絡める。漏れる案田の甘い声は恥ずかしくも教室内に響きわたっていた。
泣き止まない案田を見ながら至近距離過ぎるものに、俺が恥ずかしくなったなんて言わないけど。
「あっ、小前ぇ、んふぅッ……!」
「はあ、案田は、本当に知らないんだなぁ」
「んへッぇ……なに、なんだよっ」
口端から垂れる。俺のなのか、案田のなのかわからないよだれ。ペロッと舐めて、
「これ、友達が友達に元気を出してもらうためにやることだ、って」
嘘を言う。
「とも、だち……?」
繰り返して聞いてくる案田に俺は頷きながら『そう、友達』と、また繰り返す。
ともだち。
「だから、俺は今から案田を、元気にさせようかなって思って」
「……っ、小前!」
すりすり、と。すでに勃ってる俺の下半身を案田の足にこすり付けた。
熱を持つモノは制服越しからでも伝わったのか、あるいは硬い見覚えのある棒に勘付いたのか。どちらにしても、案田が慌てるに違いないこと。
とさっ、と案田を押して、床に倒す。見るだけでわかる案田の表情は、焦っていた。
あの不良が、この不良。想像出来るか?
想像してみたことあるか?
一人ぼっちな、案田。
こんな格好してるくせに、学校は辞めたくないって。笑える。
可愛い。
「案田、俺にも元気くれよ」
「お、まえ、おかしいぞ、こんなの――」
「でもこれも友達同士、仲良くヤることだからさ?」
「ともだち……」
キーワードは【友達】か。
俺ってば男に興味あったんだな。女とも、最後までヤってなくてもそんな展開があった時期、緊張のあまり勃起しなかった。
同い年だったんだけど、さすがの彼女も悲しんでたし、それが原因で別れたっていう軽薄事情を俺は抱えている。が、俺は今、案田で勃起してる。
緊張、というものは確かにないが……あの時、彼女ですらそんなに思わなかった“可愛い”という感情を俺は、案田で抱いている。
じゃあ、ヤるしかないじゃん? ね?
シャツのボタンを多少、乱暴に外しながらちっちゃな案田の乳首があらわれた。それを、外し終えてないボタンを外し続けながら口の中に含む。
ぺったんこで膨らみもなにもない案田のおっぱいは顎が引っ掛かってそれほど堪能は出来ない。
「ふぁ、んん、小前……これ本当に友達同士でっ、すんのかよ……っ」
「しゅるよ」
「んんっ」
噛めるかわからないが、男だって乳首が勃つんだ。
顔の角度を変えて、歯を立たせてから、かぷっと。
「いっ、てぇ……かむなよぉ」
「……かわいー」
やはり友達で気が緩んだか。案田の初めての友達は、俺か。
嬉しさで温かくなる俺の心に、案田のベルトを外して、モノを出す。おお、こっちは小ぶりだ。
「こっちも可愛いなぁ、あんたは」
「ん、あっ、そこは、やめっ」
「んーん」
躊躇いなく咥えた。
やっぱり俺はそっち側の人間だったのだろうか。
「あっあっ、小前ぇ、ひゃ……ッ」
「ここ?」
亀頭を重点的に舌で舐めながらたまにタマを手で揉み解す。
急に来る快感の波に案田は背を仰け反り、ひと際高い声を出していた。その声がまたクるというか……あー、たまらない。
「うあ、あっ、小前、おまえぇ……っ、イく、イっちゃうぅぅ……!」
「ん、」
俺の頭に手を置きながら、押さえてるつもりなのかそれとも離そうとしているのかわからなかったが、すべてが止まったかのように案田はイった。
息を荒くしている案田に言葉もかけず、口のナカでぶちまかれた不味い白濁を手のひらに吐きだす。
こんな知識は、いつだかの女子が話していたぐらいの程度だ。
ケツの穴、ケツのあなー……お、ここだ。
「あっ……うぅッ、なんだよ、んん……!」
「案田には今後も元気になってもらいたいからさぁ?」
「ひ、ぅッ……!?」
キュッと締まってる穴に案田の精子を馴染みこませながら、一本一本のシワを伸ばすようにふにふにと触る。仰向けで下の方にあるケツの穴は俺からしたら少しやり辛いものだ。
ついでに案田の顔も見たい。
「お、まえ、やめっ……!」
ぐいっと膝の裏に手をかけて両足を上げる。
「俺と案田はトモダチじゃん。元気になってほしくてさ?」
ふっ、と笑いながら言うと、夕日のせいだろうか。案田の顔がみるみるうちに赤くなっていく。もしくは全部丸見えになったから、赤くなってるのか。
どっちにしても、この足の間から見れる案田の姿は良い。絶景過ぎてずっと見ていたい。
たかが友達という言葉で騙されてるところとか、イイ。
「お、なんかヒクヒクしてきたぞ、あんたの穴」
「んぁあっ、なんかッ……い、やだ……っ」
「気持ち良さも痛さも全部が元気の源だから、大丈夫だって」
「あぅんっ!んッ、意味わかんねぇよ……!」
つぷり、と指が入っていく。
ここって出すもん出すところなんだけど、入っていく。一本、二本、三本――。
「いたッ、痛い!いたくて、アッんんっ、はう……!」
「元気になってる証拠しょうこ!」
「はッはッ、はあッ」
足を曲げすぎてるからか、息がだんだんと短くなってきて酸素不足状態になってるような気がする。このまま死ぬ、なんてないからやめる気はないんだけど。
だって、ここ使っても気持ちいみたいだし。女子が言ってたぞ?
タケシ君がジュンジ君のアソコを突かれてあんあん言ってたのがちょー可愛かった、って。
だから案田も気持ち良くなって可愛くなれるんだよ、今よりもさらにっ!
「もういいな、これあげるから受け止めてくれよ」
「や、やだ、まって……まってまって小、前っ――はぅッ」
みちみちみち、と穴のナカの肉壁が俺のモノを締め付けてくる。まるで、俺の背中に腕を回してきては締め付けてくる案田みたいに。
でも、痛さはこっちの方が格別。もう、なに、千切れそうで、痛いわ。
ケツの穴ってすげぇ。
「や゙ぁぁっあ、あ、いった……!はあ、はあっうぐ、ぁん、やらぁ……おま、えぇっ」
「あぁ、こっちも結構キてるっ……」
「動いちゃ、やあ、あッ」
幾分かさっきよりも滑りが良くなってきた。案田の精子のおかげなのか、それとも――あ?
なんか俺のモノが赤いや。
ぐじゅぐじゅ、なんて卑猥な音もしてきて盛り上がってきた。案田の顔は涙とよだれとちょっとの鼻水でぐっちゃぐちゃ。頭を振ってて、脳みそシェイク出来るんじゃないか?
そう思うほど案田は声を上げてあんあん言ってる。
気持ちイイ?――そうか。
「あん、た……ほんと、マジこれ、イイな」
「あっ、ふぁッ……!おまえ、おまえ……!やぁあッ、こわっい!」
「ん、んーっ?」
ついでに案田のモノも扱いとこう。
なんかもう俺ってば、イきそうだ。これで脱・童貞とかさ、まあいいんだけどさ。俺だけが、元気を貰ってる気がする。
まあ元気もクソもないんだけど。
「小前っ、はあぁ、んッんっ」
「どーした?案田」
痛みを我慢してか腕を伸ばしてくる案田。
それに応えるように掴んで、首回りに持ってくる。けど、そろそろ慣れてきたのか?
スムーズに腰を動かせて、どのぐらい経つ?
あぁ、なんか、夕日に染められていた教室なのに、今じゃ、
「アッ、ぁんっんん……!お、れの、ナカでっんふ、めっちゃ、ぐじゅぐじゅいってるぅ……!おまえ、小前ぇっ!」
耳元で――きもひいっ――とか言うから。
「……やっべ、イく、」
今じゃ、暗くなってる。
イったモノをズポッと抜いた。俺の手のひらにはまた白濁ものがのばされている。
「はあ、はあ……案田のケツ、俺のチンコ型に開いた、まんまだっ」
「うぁっ……ん」
手でおさえていた膝の裏を離して足をおろす。その瞬間にごぷごぷ、とケツに伝う俺の精液。
えろ。
「あー、痛かったー」
「ひぐ、んんっ……」
挿入時の感想を言う俺に、泣き続ける案田。
でもほら、俺と案田って友達だから。トモダチになったばかりだから。
ほぼ全裸で仰向けのまま泣く案田の体を起こす。ケツが痛いのか座った時の衝動でビクついていたけど。
「ほら案田、携帯出せ」
「いたッ、ぃだい……っ」
「悪い悪い、これでいいか?」
そう言って座らせていた案田をまた寝転がす。同時に俺は案田に覆い被さる。
ぐちゃぐちゃな顔は変わらずで、綺麗なのに台無しだ。あ、俺のせいだけど。
だって泣くんだもん。寂しかったって言うからさ。ちょっとは役に立ちたいと思うじゃないかー。
えー? 違うー?
「携帯ケータイ、と……はいじゃあ、交換な」
「ふっ、ん……なに……」
バーコード式のQR画面で素早く登録したあと、案田に見せる。アドレス帳に埋め込まれた俺の名前。
「……」
ボーッと泣いて少し腫れたような目で見ている自分の携帯。
さっきチラッとアドレス帳覗いたけど、母親の連絡先と学校の連絡先。この二件しか入ってなかった案田の携帯。そりゃ寂しくもなるよな。
だって実の親と、そんなにかかってくる事のない学校の番号を登録したってなぁ?――あ、そうだった、案田ってば数々の問題を起こしてる問題児だった。
学校からばんばんと連絡来るか。てか、ちょっと案田の携帯汚しちゃったよ。
まだ俺の手には精液がついてるからさ。
「俺と案田は友達だから、交換くらいは、な?」
「……ともだち」
「……っ」
今度こそキラキラと目を輝かせる案田。
「……」
やべぇ!
また盛りそうだ……。こんな事ヤられてるのにまだ信じてるよ!
可愛いな、なにも知らない子をこうやって可愛がるのもありかもしれないな!
なんだっけ? 退学させられるんだっけ?
任せとけよ。
あ、俺に任せとけってわけじゃなく、相津に任せとけって!
あいつならなんとかしてくれるから。なんとかしてくれるから、またヤろうか。どんどんぶち込もうか。元気があってもヤるのかって?
元気があるからヤるんだろ?
これが正しい!
「案田、いつでも連絡くれよ」
「で、も俺……」
どこか不安がる案田に――実際の不安は行為の事かもしれないが――俺は新規メールを立ち上げて、目の前の相手に送信。教室内でバイブ設定にしていた音が鳴り響く。
「……」
そのバイブの正体は案田の携帯だ。その携帯に、受信された人物は、つい先ほど登録したばかりの、
「ほら、これでトモダチ」
俺からだから。
* * *
差出人:小前
件名:友達記念
本文:
〝今週末、アソビに行こう〟
「あそび……?」
「俺達は仲良しだからね」
――あれ、さっきまで、どんな考えをしてたっけ。
そうそう、高校生で一番楽しいのって、二年生なんじゃないかなって考えだ。
だってほら、こんなことも出来る出会いがあったわけだし。
(「ゲーセン……」「健全だなあ」)
*END*
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