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君は可憐で可愛らしい

「あんなに小さかった未知が、高校受験かぁ・・・早いもんだな」 「お兄ちゃん、奥さんの彩さんが首を長くして待っているよ」 「朝、喧嘩してさ・・・帰りにくいんだよね・・・今日だけ泊めてよ。どうせ父さんも柚奈さんも旅行へ行っていないんだろう?」 「それは、そうだけど・・・」 「じゃあ決まりな」 戸惑う僕にはお構いなしのお兄ちゃん。 相変わらず自由気ままな人だ。 「そうと決まったら、何か美味しいもの食べに行くか?」 「うん。でも・・・塾の宿題まだ終わっていないから・・・」 「もしかして、これから塾?」 「7時から8時半まで」 「兄弟水入らずで過ごそうと思ったのに・・・一日ぐらいサボれないの?」 「そんな事、急に言われても・・・」 「塾の電話番号教えて」 お兄ちゃんに言われ、仕方なく番号を教えると、携帯を片手に部屋から出て行った。 本当、自分の事しか考えないんだから。 これでも、受験生なんだよ。宿題もあるし、自主勉だって・・・。 帰ってきたら、文句の一つでも言ってやろう。 お兄ちゃんとは、15歳離れている。僕が産まれてすぐくらいに家を出て、寮のある高校へ進学したあと、うんと遠い大学へと進学し、そのまま就職した。 年2回くらい、お盆のこの時期と、お正月にしか帰ってこない。 どういうわけか実家には決して泊まらない。駅近くのホテルに連泊しているみたいだけど、何もそこまでしなくてもいいのになぁ・・・。 ツクツクボウシ ツクツクボウシ 虫の音が聞こえ始めた。 そろそろ窓閉めなきゃ・・・。 よいしょっと、椅子から立ち上がって、窓に近付いた。 わぁ~~‼ きれ~~‼ 西の空が茜色に綺麗に染まり、ロール状の低い雲も、橙色に染まっていて、とても美しい情景が広がっていた。 ガタン。 ドアが開く音がして、振り返ると、シャッター音が響いた。 「やだなぁ、お兄ちゃん。僕よりも彩さん撮ればいいでしょう」 「だって、すごく可愛いかったから・・・つい・・・なぁ、未知・・・」 「ん⁉」 「お兄ちゃんの頼み、一つ聞いてくれるか?」

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