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君は可憐で愛らしい
「何、どうしたの?お兄ちゃん、さっきから変だよ」
「そうかな・・・気のせいだよ」
視線が宙をさ迷っている。
なんか上の空って感じ。
やっぱ、ヘン。
「自然な未知を撮らせて欲しいんだ。だから、ラフな格好になって欲しい」
「ラフな格好?」
「うん。下着姿で・・・ダメかな・」
「別にいいけど・・・」
お兄ちゃんの頼みなら、仕方ないか。
ちょっと恥ずかしいけど・・・兄弟だし・・・。
まぁ、いっか。
そんな簡単な気持ちで、汗でしっとりと濡れているTシャツと、ジーパンを脱いで、椅子に掛けた。
「さっきみたく、空を見上げて」
「うん」
「お尻・・・もう少し突き出して・・・・そう。すごく、色っぽいよ」
お兄ちゃんの言うがままにポーズを取らされ、数えきれないくらいのシャッター音が響いた。
「今度は、顔だけこっち向けて・・・そう。すごく、可愛いよ」
ファインダ―越しに僕を見詰めるお兄ちゃんの視線が、次第に、熱を帯びていく。
声も何だか、違う。
熱でもあるのかな?
顔が紅潮して、鼻息がさっきより、荒いような・・・
なんだろう、僕まで体が熱くなってきたような・・・。
頭がくらくらしてきた。
「未知の顔、赤いぞ。大丈夫か?」
「お兄ちゃんが変な事ばっかり言うからでしょ!!」
「例えば、どんな事?」
「だから、その・・・色っぽいとか・・・可愛いとか・・・。僕、男なのに・・・」
言ってるこっちが恥ずかしくなる。
お陰で、顔がますます熱くなってきちゃった。
「半分は・・・だろ?」
ベットの端にゆっくりと腰を下ろすお兄ちゃん。
「柚奈さんの家系は、どういう訳か、両性の子が産まれるんだよね。遠縁の男の子は、不遇な境遇で育ったけど、好きな人と巡り会って、未知と同じ年で妊娠したと聞いた。おいで未知・・・」
笑顔で、両手を大きく広げるお兄ちゃん。
拒む事も出来たのに、その腕の中に、何故か自然と吸い込まれていった。
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