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新しい名前

「名前では呼ぶな、そうさっきも言ったはずだ」 「遥琉が誰と付き合おうがボクには関係ないよ。でも、何で?よりによってコイツなの?ボクより、気色悪い変な生き物の方がいい訳?橘に言われたんでしょう、子供さえ出来ればいいんです、黙って子作りをしろって・・・違う?」 「森!」 お店の中に卯月さんの怒号が響く。 彼の声にびっくりした一太が泣き出した。 「ボクは森じゃないよ。卯月心・・・だよ」 負けじと睨み返し、彼の怒りの矛先は僕や一太に向けられた。 「遥琉は、ボクのだよ。ようやく那奈を追い出せたと思ったら・・・子供だしにして・・・実の父親に強姦されたのって嘘で、ほんとは、自分から誘惑したんじゃないの?」 一番言われたくないことを子供の前で一方的に言われ悔しかった。それに対し、何も反論出来ない自分にさらに腹が立った。 「いい加減にしろ!場をわきまえろ!」 卯月さんは、鼻を啜り泣きじゃくる一太を両腕でそっと抱き締めた。 「ごめんな、びっくりしたな」 なだめるように声を掛けると、橘さんに森さんを外に連れていくよう命じた。 「ボクは反対だからね、こんな気色悪いのと再婚するの、絶対認めないから!」 腕を掴まれすぐに振り払う森さん。 鬼の形相で睨み付けられた。 森さんはちらっとテーブルの上に置いてあるカトラリーボックスに目を遣ると、ニヤリと薄笑いを浮かべた。 「・・・そうだよね・・・自分のモノは自分で守らないと・・・」 手を伸ばしフォークの柄を掴むとそれを僕に向けた。 「遥琉の前からさっさと消えてよ!!」 森さんは狂ったかのように大声を張り上げた。その声に驚き、一旦は泣き止んだ一太が再び泣き始めた。 「デカい声を上げるな」 不快感を露にする卯月さん。一太を橘さんに手渡すと、毅然として森さんの前に立った。

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