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その後

一太が笑顔で二人の手をそれぞれしっかりと握り締めてぶんぶんと大きく振っていたのだ。今日生まれて初めてお母さんと会ったはずなのに。 ゛ままみて、いちたのばあばだよ゛ 一太の顔が自慢げにそう言ってるようだった。 「一太の笑顔はみんなを幸せにするから不思議だ。一太がな、みんななかよくしないとだめって、そんなことを言っててさ。だから、どうしても未知に両親に会って貰いたかったんだ。ごめんな、黙ってて」 彼の指が目蓋の縁をそっと撫でてくれて、涙を掬い上げてくれた。 式は厳かな雰囲気に包まれ、粛々と式次第に基づき進んでいった。 「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 牧師さんの声が高らかに響き渡る。 「私はあなたの夫となる為にあなたに自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守って、あなたとともにあること誓います」 彼がしきたりに乗っ取って言葉を述べていると一太が乱入してきて、僕の代わりに「ちかいまちゅ」と大きい声で答えて参列者の皆さんから拍手喝采を受けていた。 キスは人前では絶対しない‼って彼。みんな未知を好きになったらどうするんだって真顔で言ってて橘さんに怒られていたっけ。最後の最後まで嫌々を繰り返していた彼。 本番では渋々ながらも、頬っぺたに軽くキスをしてくれた。

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