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その後
式が無事終わり、教会に隣接するレストランでゲストの皆さんを招待して食事会を開いた。
遥香はぐずって泣いてばかり。オムツを交換しても、おっぱいをあげてもわんわん泣き通しで。仕方ないから一太を彼と橘さんに頼んで散歩に連れ出した。
「未知、大丈夫?」
お母さんがすぐに追い掛けてきてくれて。那奈姉さんまで来てくれた。
「親子で散歩するって、はじめてじゃない?」
お母さんが半歩先を歩いて。
那奈姉さんと並んでそのあとを付いていった。色とりどりの花が咲き乱れる庭園を見て歩き、木立の下にあったベンチに三人で腰を下ろした。
雲ひとつない青空。心地よい風が吹いていた。
会話を交わさなくてもお互いの気持ちが分かるから不思議。遥香もぴたっと泣き止み笑顔を見せてくれた。
そんな遥香を目を細めて眺めていたお母さんがくすっと自嘲した。
「一太や遥香のお陰ね。私達親子がこうして再会出来たのも。未知、ごめんね。母さん、一太を殺そうとした。ほんとうにごめんね。那奈もごめんね。母さん知ってて見てみぬ振りしていた。二人には正直に言うわね。母さん、昔のトラウマでセックス依存症になってしまったの。お父さんと付き合いながら、色んな男性を家に連れ込んで行きずりを関係を続けていた。中には那奈が目的の男性もいた。目の前で性的な悪戯をされ、泣きながら助けを求めるあなたの声に、母さん耳に蓋をして見知らぬ若い男との行為に溺れた。寸での所で茨木さんに助けられて、そのまま兄の許に引き取られたあなたを迎えに行かず、結婚しようと言ってくれたお父さんを選んだの。こんな最低な母親、一生許さないでしょうね」
お母さんのちいさな肩がわなわなと震えていた。一筋の涙が頬を伝い、手の甲へと落ちていく。
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