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その後

彼のお父さんがお兄ちゃんのことを助けてくれていたなんて。そんなの聞いてない。 あーうー遥香が那奈姉さんの顔をじっと見詰めて、ニコッと笑い掛けた。 「ごめんね、ハルちゃん。こんな湿っぽい話し聞きたくないものね」 那奈姉さんの顔に笑顔が戻ったけれど、お母さんはずっと下を向いたままだった。 「柚奈、ここにいたのか。急にいなくなるから心配したんだぞ。未知も一緒だったか。卯月さんがな、一太の三才の誕生日と、遥香の誕生祝いに是非来てくださいって」 お父さんがぬっと姿を現した。 「そう、良かったわね。ねぇ、あなた。その前にどうしてもやらないといけないことが出来たの」 ふらふらと立ち上がると、那奈姉さんに深々と頭を下げてさっき来た道を戻っていった。 「柚奈待ってくれ」お父さんが慌ててそのあとを追い掛けた。 「未知は、遥琉と幸せになることだけ考えていればいいの。あなたまで暗い顔をしていたら遥香だって不安になるでしょう」 ずっと背負い続けた重荷をようやく下ろすことが出来て、那奈姉さんホッとしていた。

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