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番外編 かけがえのない宝物
キラキラと新緑が眩しい季節。海を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごしたいお客さんで連日カフェは大盛況。
「ごちゅうもんは?」
「じゃあ、コーヒーお願いします」
「はぁ~い」
二歳の誕生日に茨木さんからプレゼントされた真っ白なふっりふっりのエプロンを着て、にこにこと屈託のない笑顔を振り撒き、張り切ってお手伝いする遥香。その姿に癒され、お客さんみんな自然と笑顔になる。
「いゃあ~、一太を思い出す。ハルちゃんも二歳かぁ。早いもんだ」
定位置のカウンター席に座り、遥香を温かく見守ってくれるのは秦さん。ほぼ毎日のようにお店に顔を出してくれる。
「じいじぃ‼」
パタパタと元気良くカウンター内の茨木さんのもとに走っていく遥香。
「注文は何かな?」
「えっとぉ・・・」
茨木さんに聞かれ、首を傾げる遥香。う~ん、何だっけ⁉すっかり度忘れしたみたいで、へへへって笑って誤魔化す姿が何とも愛嬌があって可愛らしい。
「もう、一回聞いておいで」
「はぁ~い‼」
パタパタとまたお客さんのもとに戻っていく遥香。
今度こそ、ちゃんと出来るかな?
「大丈夫だ。あの遥琉の娘だぞ、未知ちゃん」
心配でならなかった僕に秦さんが声を掛けてくれた。
「人見知りせず、物怖じもせず、たいした子だ。挨拶だってちゃんと出来るし」
「一太や、ハルちゃんはみんなに可愛がられて育ったんだ。人見知りなんかしないさ」
コーヒーを啜りながら秦さんの視線がふと、僕のお腹に向けられた。
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