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番外編 逆恨み

橘さんに体を支えてもらい片足を引き摺りながら颯人さんが姿を現した。彼から離れようとしたけれど、仲のいいところをわざと見せびらかす為か腰に腕が回ってきて引き戻された。 「ここで」 背中を向けて廊下にどさっと腰を下ろす颯人さん。空を仰ぎ見た。 「捕まってからずっと奴隷のようにこきつかわれ、ただ働きさせられた。使い込んだ金の他に法外な利子を上乗せられ、どんなに働いても利子分にしかならなかった。逃げ出そうとして連れ戻されてボコボコに袋叩きにされて、これでやっと死ねる。楽になれる。そう思ったよ。その時、組幹部に『お前がこうなったのは全部卯月遥琉のせいやろ⁉ちゃうか⁉』そう囁かれて・・・跡目がボンクラだから、卯月遥琉さえいなくなれば龍一家は消滅する。だから、遥琉の弱点である未知や子供たちを殺すように指示された」 颯人さんの言葉に彼の手が怒りで震えていた。 「そんなとき、龍一家の組長と根岸さんらが事務所に乗り込んできた。橘さんも一緒だった。そのときはじめて彼が弁護士と知って驚いたよ。きっと情けを掛けられたんだと思う。血は繋がっていないけれどあの人の息子だから」 颯人さんもしかして泣いてるの⁉ 「一度ならず二度も、妻や子供たちを殺そうとしたお前を、俺は一生許すことは出来ないだろう」 「許して貰おうなんてこれっぽっちも思ってない」 それからしばらくの間、彼は無言で颯人さんの背中を睨みつけていた。昔の彼を彷彿とさせる鋭い眼差しで。

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