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番外編 逆恨み

お腹がいっぱいになり、部屋に戻ると、お気に入りの耳の長いうさぎの縫いぐるみを抱き締め、僕の膝の上にちょこんと座る遥香。眠そうに目を手で擦りながらも、顔を服に擦り付けたりして決して離れようとしなかった。甘えさせるだけ甘えさせてあげよう。柔らかな猫っ毛の髪を撫でてあげると、とろんとした目になり爪をいじりながらまた眠ってしまった。 「未知いいか⁉」 頃合いを見計らって彼がそぉーと足音を忍ばせ部屋に入ってきた。橘さんも一緒だった。付いていったら邪魔なだけだからと心さんたちに引き止められ、むすっと不貞腐れていた彼。まだ機嫌が直っていないのかその表情は強ばったままだった。 「少しだけ広間に来れるか⁉」 「ハルちゃんは私が責任をもって見てます」 遥香の体を離そうとしたらギュッと服を握り締められた。 「怖い思いをしましたからね、仕方ありませんよ。颯人さんをここに連れてきます。積もる話もあるでしょうから」 「なら俺が代わりに話を聞く」 「これだから焼きもち妬きは困るんです。何も二人きりになんかしませんよ。あなたはしっかりと颯人さんが未知さんに悪さをしないように見張ってればいいです」 橘さんは溜め息を吐きながら、颯人さんを呼びに戻った。 隣に胡座をかいて座る彼。肩に腕が回ってきてそのまま抱き寄せられた。 「親父がな、このまま飼い殺しになるのは勿体ないと、彼を助けたらしい。今は根岸の舎弟見習いだ。彼は手嶌組の内情に詳しくて、遥香を連れ去った女が組長の愛人だと気がついた。だから橘たちが隠れ家にすぐに駆け付けることが出来た」 そんな・・・にわかには信じられなくて。彼を見上げた。

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