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番外編 逆恨み
その声は間違いなく颯人さんの声だった……でも何で⁉
包帯で顔をぐるぐる巻きにし、右腕もギブスで固定し包帯をぐるぐると巻いていた。足取りもおぼつかなくて、心さんの支えがないと一人では歩けないそんな状態だった。
「未知、遥香におやつを早く作ってやれ。それからちゃんと説明させるから」
裕貴さんに言われ、遥香を彼と橘さんに頼み台所に急いだ。
冷蔵庫を覗き、何を作ろうか悩んだけれど一番好きなパンケーキを作ってあげることにした。頂き物のフルーツ盛合せをこれでもかと、焼き上がったパンケーキの上にてんこ盛りにした。
「まま‼」匂いにつられて遥香が彼と手を繋ぎちょっこりと顔を出した。
「おいちぃそう」
大好物を目の前にし、ニコニコの笑顔になる遥香。
自分から手を離すとパタパタとテーブル駆け寄って、椅子によじ登りちょこんと座った。
「手はちゃんと洗ってきたから。なぁ遥香。じゃあ、頂きますして」
「はぁ~い」
彼も娘の隣に腰を下ろし、きょろきょろと何かを探しはじめた。
「未知、俺のは⁉」
真面目な顔で何を言い出すかと思ったら。
「バタバタしてお昼まだだったから。俺もパンケーキでいいから」
そうだよね。お昼どころじゃなかったものね。急いで作るね。笑顔で彼に返し、残っていた生地を冷蔵庫から取り出した。
「おいちぃ」
むしゃむしゃと口いっぱいに頬張る娘を、頬杖をついて目を細め眺める彼。緊張の糸が解れて良かった。いつもの優しいパパに戻ってくれて良かった。
「パパ、あ~ん」
「何だパパにくれるのか⁉」
「うん‼」
フォークにパンケーキをさして目の前に差し出され、彼、目をうるうるさせていた。
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