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番外編 それでも彼が好きだから
「心!」小さな握り拳をプルプルと震わせ、むくっと立ち上がる彼。脱ぎ捨てた服を拾い集め身につけると、心さんと千里さんの所に行こうとし、すぐに踵を返した。
「遥香が起きそうだから」
彼に言われて、娘を見ると、ぐんと背伸びし布団の中でモゾモゾと動いていた。
「これでも羽織っていたらいい」
心さんに貰った浴衣を押入れから引っ張り出してきて、肩にそっと掛けてくれた。
【遥琉さん、待って!】
心さんたちのところへと足を向けた彼の服の裾を咄嗟に掴んだ。
「心の言っていたことは事実だ。あとでちゃんと分かるように説明するから」
にこっと微笑んで、頭を優しく撫でてくれた。ごめんな、謝罪の言葉を二度三度口にし、心さんと千里さんのところへ向かった。
それからすぐに、一太が遊び疲れて寝て帰ってきた。慌てて浴衣に着替えて、起こさないようにそぉーと布団に寝かせると、先に目を覚ましていた遥香が布団からむくっと起き上がった。
「じいじだぁ!」
いつもなら寝起きが悪くてグスグスとぐずる遥香。でも、大好きなお義父さんをすぐに視界に捉えニコニコの笑顔になった。
「おう、遥香。おかえり」
「じいじも、おかえりなしゃい」
パタパタと駆けていって、抱っこをせがんだ。
「未知さんや、この際だから、遥琉に過去の女関係全部口を割らせたらどうだ?その方がすっきりするだろうよ」
【お義父さん・・・】
ハッとして顔を見上げた。
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