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番外編 誰よりも愛してるからこそお前が憎い
「未知!!」
死を覚悟した瞬間、彼の声が聞こえてきた。こんなところにいるわけない。空耳かと思ったけれど……
闇の中からぬっと現れた腕の中に、まるで吸い込まれるように落ちていった。
「尊を掴まえろ!」
「スカルも逃がすな!」
誰かが頭上で大声を張り上げていた。
「未知……大丈夫か?」
体を揺すぶられ、恐る恐る目を開けると、今にも泣き出しそうな彼と目が合った。
【遥琉さん……!?】
温かい……すごく温かくて落ち着く……
僕、生きてるの……?
それともこれは夢の中……?
「良かった無事で……」
男泣きなんてみっともないって彼。
そんなことないよ。ありがとう、助けてくれて……彼が静かに流す涙に生きているんだってやっと実感が沸いてきた。
涙を拭ってあげないと、そう思いながら、そぉーと手を伸ばした。その時、べっとりと血の付いた手首を見て、ハッと思い出した。
【お父さん、お母さんが大変なの!!どうしよう】
藁をも掴む思いで上着にしがみついた。
「未知さん、安心してください。ご両親は怪我はしているものの、命には別状ありませんよ」
薄暗い闇の中から橘さんと、それからなぜか裕貴さんが姿を現した。
「俺もいるんだけどな……」
頭上からまた声が聞こえてきた。この声の主はそう笹原さんだ。なぜ、彼までここにいるのだろう。そしてもう一人。
「裕貴さん、すみません。逃げられました」
包帯で顔をぐるぐる巻きにした颯人さんが、根岸さんらと共に駆け付けてきた。
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