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SS彼と一太と初めて過ごすクリスマス🎄
「未知さんどうしました?」
ううん、何でもないです。ぷぷっと思い出し笑いしていたら橘さんに急に声を掛けられどきっとした。
何がなんでもクリスマスプレゼントをあげたい彼と、欲しいものはないからいらないと頑なに首を横に振る一太。
そんな二人の攻防は今も変わらず続いている。
「一太、変身ベルト欲しいだろ?」
「いらない」
「じゃあ、ゲーム機は?」
「もっといらない」
「いちた~~!」
おもちゃ屋さんのチラシをテーブルの上に広げるも一太は一切興味なし。見ようともしない。彼もほとほと困っていた。
頑固なのは僕に似たのかな?
ごめんね遥琉さん。
妊娠七ヶ月目に入りようやくふっくらしてきたお腹を擦っていると、遥香がにこにこしながら抱き付いてきた。
「ママ、たいくんとここちゃんはげんき?」
うん、二人とも元気一杯だよ。
ポコポコと二人して力強くお腹を蹴るからちょっと痛い時もたまにあるけどね。
妊婦検診で男の子と女の子だと判明して、女の子の方は心さんの一字を貰い心望(このみ)と命名することに決めた。
男の子の方は一太の希望でたいせいという名前に決まった。どんな漢字を使ったらいいか、今かなり悩んでる。
「遥香、何か欲しいものはあるか⁉」
「ハルちゃん、あかちゃん‼」
「赤ちゃん以外で」
「えっとぉ・・・・ない」
「そっか、ないのか」
遥香も一太に似たのかクリスマスプレゼントは別にいらないみたいで、がっくりと肩を落としていた。
そして迎えたクリスマスイブ当日。
「パパこれあげる」
「おぅ」
初めて家族になった年も、遥香が産まれた次の年も、あれからずっと、一太は彼に手作りのメッセージ入りのアイシングクッキーをプレゼントしている。
去年までは橘さんに手伝って貰っていたけれど、今年は自分一人で頑張った。
《ありがとう》《パパすき》
遥香はクレヨンで画用紙いっぱいに描いた大好きなパパの似顔絵をプレゼントした。
毎年子供たちからプレゼントを貰い泣くのは決まって彼の方で。
泣く子も黙る菱沼組の組長も形無しですね。橘さんも呆れ返っていた。
卯月家のクリスマスはちょっと変わってるかも知れないけれど、一太と彼が血の繋がりがあろうがなかろうが関係なく、楽しく過ごすクリスマスがこれからもずっと続けばいいと切にそう願ってやまない。
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