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ss彼と一太と初めて過ごすクリスマス🎄

「遅くなってごめん」 カランカランとドアベルが鳴って彼が息を切らし駆け込んできた。 「とっくにクリスマスパーティは終わってしまいましたよ。兄弟の付き合いも大事ですが、貴方にはそれよりももっと大事なものがあるのを忘れたんですか?」 橘さんに小言を言われ、ごめんと謝り肩を落とし項垂れていた。 「あっ、パパだ‼」 茨木さんと一緒に片付けのお手伝いをしていた一太が彼の姿をさっそく見付け、バタバタと物凄い勢いで走ってきた。椅子の上に置いてあったくまさんのリュックに手を入れると、クリスマス用の可愛らしいラッピングをした紙袋を落とさないようにしっかりと手に握り絞め、彼のもとににこにこと満面の笑みを浮かべ駆け込んでいった。 「ごめんな一太。一緒にお祝いしようって約束したのに。恐いおじちゃん達にパパ捕まってなかなか帰ってこれなかったんだ」 「ううん、だいじょうぶだよ。これね、いちた、たちばなしゃんといっしょにつくったんだよ。パパにあげる」 小さな手を懸命に伸ばし紙袋を高く掲げた。 「パパにくれるのか⁉」 予想もしていなかったことに目を丸くし、よほど嬉しかったのか目を潤ませながら一太からの初めてのプレゼントを受け取っていた。 昨日の夜、彼に何が欲しい⁉遠慮せず何でも言っていいぞって言われた一太。でもなぜか首を横に振った。その理由が今ようやく明らかになった。 「いちたね、プレゼントいらないっていったでしょう。だってサンタさんからふたちゅもらったから」 家族になって三人で初めて迎えるクリスマス。僕より彼の方がやたらと気合いが入ってて、今朝起きたら見上げるくらいおっきいクリスマスツリーがリビングに飾ってあって一太も僕も腰を抜かすくらい吃驚した。 「ふたつ?」 「うんそうだよ。サンタさんにね、いちた、 ママのおてづだいいっーーぱいするから、パパとあかちゃんくださいって、たのんだんだよ」 「一太………」 感激のあまり涙を流しながら一太を抱き上げ、むぎゅーと抱き締めた。 「パパくるしい」 「おっと、悪いな」 「いちたね、ママもすきゅだけど、それよりもパパがだいすゅき」 「いちた~~~!」 ますます涙が止まらなくなってしまった彼に、橘さんも茨木さんも苦笑いしていた。 ベビハル…… お腹にそっと手を置いた。 来年のクリスマスは、パパとママとお兄ちゃんと橘さんと5人で一緒にお祝いしようね。 サンタさん、一太の夢を叶えてくれてありがとう。僕にも、かけがえのない大事な彼とベビハルと橘さんを授けてくれてありがとう。

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