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番外編 縣家の嫁
一太と遥香が起きるのを待って、心さんと合流し、すぐに信孝さんのもとに向かうことになった。
「どうした?浮かない顔をして……具合でも悪いのか?」
ううん、違うの。首を横に振った。
「やっぱり、カレンのことか?」
素直に答えるか散々迷った末、こくりと頷いた。
「俺はな、未知や一太、遥香に危害を加えようとする者は、例え身内だろうが、かつての恋人だろうが、親友だろうが決して許さない。本当のことをいうと縣兄弟とも刺し違える覚悟でいた。でも、今回ばかりは光希に助けられたがな」
【遥琉さん……】
「未知を危ない目に合わせたばかりじゃなく、無関係な未知の両親まで巻き込んだ尊や、スカルや、カレンに対しは怒りしかない。黒幕の大上に対しても……」
現役の頃を彷彿させるくらい格好良くて、思わず見惚れていたら、困ったような顔をされた。
「そんな顔をされたら、手離せなくなるだろ?」
【そういう訳じゃないから!】
「ムキになる辺りがますます可愛い」
クスクスと機嫌よく笑う彼。でもすぐに暗い表情に変わった。寂しくなるなってポツリと本音を漏らした。
【僕だって離れたくない!遥琉さんの側にいたい!】
大好きな、大きくて広い背中にギュッとしがみついた。
「未知、一太や遥香と待っててくれ。必ず会いに行くから……」
強がる素振りを見せながらも、嗚咽まじりの声を漏らす彼。肩が微かに震えていた。
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