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番外編 思いがけない再会
「すっかり言い忘れていた」
「あのな……」
しれっとして悪びれる様子もなく答えた弓削さんに、彼、どう返答していいか困っているようだった。
未知、そぉーと静かに両手を握られて。そわそわした目で顔を覗き込まれた。
「妊娠6週目ぐらいです。双子には間違いないそうです」
半ば呆れながら僕の代わりに橘さんが答えてくれた。
「ほんとうか未知⁉」
念を押すように聞かれて。彼を見詰めたまま小さく頷いた。
「よし‼」
ぱっと彼の目の奥が輝きに包まれて。今度はぎゅっと抱き締められた。子供のようにはしゃぐ彼。でも、橘さんと弓削さんの表情は依然として固いままで……
あくまで裕貴さんの代理人として、度会さんに挨拶に来ただけだと拝島さんに伝えた橘さん。鋭い眼光でジロリと睨み付けられても動じることはなかった。
でも、彼を見送ろうと外に出たとき、意外な人物と再会することになった。驚いて声も出ない橘さんを拝島さんは、からかうように嘲笑っていた。
「まさか大上のイロとして、カレンさんと再会することになろうとは……私はてっきり、スカルと付き合っているものだと思っていました」
予想外の事態に橘さんもどうしていいのか分からないみたいだった。
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