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番外編 思いがけない再会
「ま、考えてもしゃあない。未知には兄貴が付いているんだ。橘だって、心だっているんだし。だから大丈夫だ。おっと、そろそろ事務所に戻らないと」
彼と何気に目が合った弓削さん。目を反らし急にソワソワし始めた。
「セクハラはほどほどにしておけよ。調子に乗りすぎると裕貴に半殺しにされるぞ」
リビングを出ようとした弓削さんに、彼が声を掛けた。
「はぁ!?何のことだ?」
「心の首筋にこれ見よがしにキスマーク付けておきながら、それでもシラを切る気か?」
「何だ、気が付いていたのか。若いかみさんにゾッコンで、気が付いていないかと思った」
「お前な……」
他人事のように話す弓削さんに、ため息をつきながら前髪を掻き上げる彼。
「それ以上のことは勿論してないだろうな」
「さぁ、どうだかな」
ニヤリと笑い思わせ振りな台詞を残し、ヒラヒラと手を振りながら弓削さんがいなくなった。
心さんは恥ずかしそうに頬を赤らめて俯いていた。
橘さんが心さんに、少し休んだ方がいいですよ、そう言って部屋に連れていってくれて。ようやく二人きりになれた。でもいざ二人きりになってみれば、それはそれで妙に落ち着かなくて。
コーヒーでも淹れようとキッチンへ向かおうとしたら、「未知」呼び止められて、手を引かれ、膝に乗る格好で座らせられた。
「ごめんな……」
そっと抱き締められて。
彼が最初に口にしたのは、謝罪の言葉だった。
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