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番外編 かけがえのない家族とともに生きる

「未知、これを羽織って」 浴衣を肩に掛けてもらい袖を通すと、前を合わせてくれた。 「隣の様子を見てくる」 【え!?】 ムクッと立ち上がった彼の服を咄嗟に掴んだ。 「真っ最中なら声ぐらい聞こえるだろ?」 彼との行為に夢中になっていたから全然気が付かなかったけれど、言われてみれば確かに物音一つしない。 「それが全然聞こえないということは、つまり……」 熟睡中の子供たちを起こさないように、そぉーと静かに襖を両手で開ける彼。 今まで寄り掛かっていたのだろうか。柚原さんが驚いたように彼を見上げていた。 「柚原、橘の真似をする必要はないだろ」 落胆し深いため息をつく彼。 「いやぁ~~悪いな。喋れない未知が、どういう声で啼くのか、気になってさぁ」 「あのな……」 「優璃に聞いたら、幼さが少し残る愛らしくて甘い声だって言われて……だから耳を済ませて聞いていたんだ。すっかり聞き惚れていた」 悪びれる様子もなく笑って誤魔化そうとする柚原さんに、さすがの彼も呆れていた。 「未知さんの声は、遥琉だけのものじゃありませんよ」 濡れた髪をタオルで拭きながら、浴衣姿の橘さんが姿を現した。

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