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番外編 拗れた片恋

彼に話しがあるからとリビングに呼び出され、スマホの画面を見せられた。路上で真沙哉さんと談笑する長身の四人の男性たちが写りこんでいた。暗くて顔までは分からなかった。 「そいつらは真沙哉が信頼を寄せる手下たちだ。命を狙われていると知り中国からわざわざ呼び寄せたらしい。福井が警戒するように連絡を寄越した」 続いて2枚目の写真を見せてくれた。 「未知に見せるかどうか迷ったんだけど……」そう前置きした上で。 二人の浴衣姿の若い女性の肩に手を回し上機嫌で温泉街を歩く大上が写っていた。すぐ側にはカレンさん。 「手配書が回っているのを知ってか知らずか、持ち出した組の金で愛人たちとあちこち豪遊しているらしい。拝島はその金を回収するためか大上を血眼になって捜しているらしい」 襲名式のあとすぐに行方をくらました和泉さんがいるかも知れない。大勢の観光客一人一人に目を凝らした。 「未知、そんなに和泉のことが気になるなら、鷲崎に頼んだらどうだ?」 キッチンに立ち洗い物をしていたら柚原さんにスマホをぽんと手渡された。 和泉さんの姿を探していたら、彼にまずは自分の体調を優先しろ、余計なことに首を突っ込むなって釘を刺された。 「鷲崎は、勘は野生動物並みに鋭いが、恋愛に関してはかなり鈍感だ。誰かが教えてやらないとおそらく死ぬまで気がつかないだろうよ」 目を手元に向けるとメールの入力画面になっていた。 「焼きもち妬きの亭主の相手は任せろ」 冷蔵庫から缶ビールとジュースを手に取ると、あとは頼む、そう言い残して何事もなかったようにリビングに戻ってしまった。

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