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番外編 九鬼総業の内紛

『未知の声、震えている。たく、相変わらず泣き虫なんだから……離れていても俺たちは常に一緒だ。未知、愛しているよ。言葉に尽くせないくらい君が好きだ』 聞いているのが恥ずかしくなるような台詞をさらりと口にする彼。 今この状況でそんな言葉を掛けられたら、涙を我慢出来なくなるでしょ。 本当に泣き虫になっちゃうでしょ。 遥琉さんの意地悪。 頬っぺたをこれでもかと膨らませた。 そしたら電話の向こうで機嫌よく笑っていた。 お互い顔は見れなくても、言葉を交わすことが出来なくても心はしっかり繋がっている。そう思ったら不思議と元気が沸いてきた。 「未知、スピーカーに出来るか?」 和泉さんに肩を軽くトントンと叩かれた。頷いてすぐにスピーカーのボタンを押した。 「遥琉、和泉だ」 『おっ、和泉か。怪我の具合はどうだ?』 「俺のせいで無関係な未知を巻き込んでしまってすまなかった。許してくれ」 謝罪の言葉を口にし何度も何度も頭を下げていた。 『未知は俺の妻だ。そんなに柔じゃない。巻き込まれる覚悟で、俺や千里に子供たちを託しお前の看病に向かったんだ。だから謝る必要はない』

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