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番外編 九鬼総業の内紛

ちょうどその時ポケットに入れていたスマホがブルブルと振動した。 「一人でも食べれるから早く出た方がいい」 和泉さんに言われ急いでスマホを取り出した。画面に目を遣ると彼からだった。耳にあてる前から賑やかな声が聞こえていた。 『ママ、いちた』 『ママ、ハルちゃん』 『ママげんき⁉あのね・・・』 『にいにばっかずるい‼ハルちゃんもママとおはなししたい』 一太に負けじと懸命に背伸びする遥香の姿が目に浮かんできて、思わず笑みが零れた。 『一太、遥香、お願いだからパパに電話を返してくれ』 今度は彼の声が聞こえてきた。 『え~やだ‼』 『ハルちゃんママとおはなししてない』 『あとでちゃんとママに代わるから、ちょっとだけパパに貸して、頼むから』 不満を口にする二人に必死に頼み込む彼。三人のやり取りを聞いているだけでも面白い。 『未知元気か⁉体調はどうだ⁉』 久し振りに聞く大好きな人の声に、嬉しさのあまり涙腺が崩壊寸前になった。 遥琉さんプレゼントありがとう。 大切に想ってくれてありがとう。 それなのに心配を掛けてばかりでごめんなさい。 一太と遥香を任せっきりでごめんなさい。 話したいことと謝らないといけないことが沢山あるのに・・・・ 直接言葉で伝えることが出来ない自分が不甲斐なかった。

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