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番外編 九鬼総業の内紛

「……兄貴、何でそこに……」 『何でって、鷲崎に聞け』 思いもよらない名前が出てきて動揺する和泉さん。 「鷲崎さん、そこにいるんですか?」 動揺しながらも恐る恐る聞き返した。 『さっきまではいたんだぞ。今更恥ずかしがることもないと思うんだが』 くくっと呆れたように苦笑いする声が聞こえてきた。 《和泉さんの知り合いですか?》メモ帳をポケットから取り出しペンを走らせ、彼に見せた。 「吉柳会の梶山だ。和泉の兄貴分の」 柚原さんの声が上から聞こえてきたから驚いた。 『その声は柚原!』男性が大声を張り上げた。 『てめぇか、七海を唆したのは』 「俺の訳ないだろ」 鼻息を荒くし息巻く男性に対し、柚原さんはだから何だ、素っ気なく答えた。 『七海は俺の七海だ』 男性が更に大きい声を張り上げた。 俺の七海………って?ん?どういうことなんだろう。意味が分からなくて首をかしげながら、ちらっと和泉さんを見ると、耳まで真っ赤にし、かなり慌てていた。

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