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番外編 人質

派手な外観ときらびかな内装に面喰っていたら鳥飼さんに笑われた。 「もしかしてラブホ初めてか?」 答えないでいたら手を握られそのまま部屋に連れて行かれた。 中は明るく広々としていて天蓋付きの大きなベットの脇にはリクライングチェアーと大型のテレビが配置されていた。見るものすべてが初めてでキョロキョロと部屋の中を見回していたらまた苦笑いされた。 「面白い子だ。見てて飽きないよ。そういえば晩飯まだだろう。適当に注文しておいたから」 ハイブランドのグレーのスーツを脱ぎ、リクライニングチェアーの背凭れに掛けると、疲れきった表情を見せながら、ネクタイを緩めベットの端に腰を下ろした。 「突っ立ってないで座ったらどうだ」 隣に座るよう指示された。今まで橘さんや柚原さん。それに颯人さんが守っていてくれていたから性的な悪戯をされずに済んだのかも知れない。 今は僕一人。守ってくれる人は誰もいない。しかもここはラブホ。どういうところかいまいち分からないけど見た感じ部屋の中には窓がない。出入口はたった一つだし、これじゃ逃げたくても逃げられない。 戸惑っていたら腕が伸びてきて、手首を掴まれ、隣に無理矢理座らせられた。 「俺は大上や九鬼とは違う。妊婦をレイプする悪趣味はない」 そんなの絶体に嘘だ! 頬っぺたをこれでもかと膨らませ睨み付けた。 「怒った顔もなかなか可愛いな」 今まで怖いくらい強張っていた表情が少しだけ緩み声を立てて笑い出した。

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