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番外編 七か月後
「あなたのパパは何をおろおろしているんでしょうね。困ったパパですね」
心望の頭を手で支えながら、慣れた手付きで抱き上げてくれたのは橘さんだった。背中を優しく擦りながらあやすとすぐに泣き止み笑顔を見せた。
「五月蠅いな」
頭の痛い事を言われむすっとする彼。太惺をそっと抱き上げてくれた。
一旦は泣き止んだものの、何故かまたおぎゃーおぎゃーと泣き出してしまった。
「元々顔が怖いんだ。ビビらせてどうすんだ」
「そうだよ遥琉」
騒ぎを聞きつけた裕貴さんと心さんが姿を現した。
「お前には言われたくない」
顔を真っ赤にしぶっきらぼうに答える彼。不貞腐れムキになる姿が一太そっくりで思わず吹き出しそうになった。
「ねぇねぇ抱っこしてもいい?」
心さんが彼に駆け寄った。
「これ以上泣かせたら許さないぞ」
「分かってる」
遥香が産まれ初めて抱っこしてくれた時は、おっかなびっくり、壊れ物を扱うように恐る恐るだったけれど、流石、三人目、四人目ともなると慣れたもので、彼から太惺を受け取ると鼻歌を口ずさみながら優しくあやしてくれた。
あれ程ギャン泣きしていたのが嘘のように太惺もピタリと泣き止んだ。
「心、前言撤回する。悪かった」
これには彼も素直に謝るしかなった。
「鳥飼を探せ。まだ近くにいるはずだ」
「お前らいつまで寝てんだ。さっさと起きろ」
裕貴さんと柚原さんの声が飛び交う中、ようやく目を覚ました遥香。
「ママ、どうちたの?」
眠り眼を擦りながら辺りを見回した。
「ここちゃんずるい、ままたんははるちゃんのままだよ」
大好きな橘さんを心望に取られたとでも思ったのか、頬っぺたをこれでもかと膨らませた。何とも愛らしいその表情に、強張っていたみんなの顔が綻んだ。
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