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番外編 彼の元婚約者

「取り敢えず、太惺と心望におっぱいとミルクあげようか」 ひとしきり泣いて、千里さんに励まされ、涙を拭い【はい】と頷いた。 「ママ、あかちゃんのミルク」 一太と遥香が満面の笑みで哺乳瓶と粉ミルクを持ってトコトコとかけてきた。 そうだよね。ママも笑顔で頑張らないといけないよね。めそめそ泣いている場合じゃないもの。 話しが長引いているのかな? すっかり冷めてしまったお昼ご飯を眺めてはため息をつき、スマホの時刻を見てはため息をついていた。 もうかれこれ半日以上事務所に籠ってる。 腕の中ですやすやと穏やかな寝音を立てて眠っているのは心望。さっきまでぐすぐずしててようやく寝に入ってくれた。 太惺もくずってばかりで、千里さんが子供たちの遊び相手をしながら、あやしてくれている。 「未知・・・・」 ドアが少し開いて彼が、そぉーと足音を忍ばせリビングに入ってきた。 「お昼は外で済ませてきた。連絡するべきだったな、ごめんな」 テーブルの上に置かれたままのお昼ご飯に気が付いたのか、申し訳なさそうに俯いて謝ってくれた。 「これから弓削たちを連れて実家に行くことになった」 【え・・・・⁉】 予想もしていなかった言葉に唖然とした。 遥琉さん、それは鳥飼さんの為? それとも咲さんっていう女性の為? じゃあ僕は?僕や子供たちの事は心配じゃないの? やっぱり咲さんの方が大事なの? 聞きたいことは山のようにあった。 でも喋ることが僕には出来ない。 彼を問い詰めて、引き留めることも出来ない。 歯痒くて、悔しくて、情けなくて。 何も出来ない自分に腹が立った。

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