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番外編 彼のお兄さん

「俺より怖い琥珀が、お前がよほど気に入ったみたいだ。この俺に゛妻゛として連れて帰れって言いやがった。ガキが起きたぞ。さっさと出掛ける用意をさせろ」 言われて後ろを振り返ると遥香が布団の中でもぞもぞと動いていた。 「お前ら、何ぼけっとしてんだ!さっさと準備しろ」 真沙哉さんが声を張り上げると、それを合図に男達が一斉に動き出した。 「パパ・・・・?」眠たそうにあくびをしながら、遥香が不思議そうに首を傾げ真沙哉さんを見上げた。 「あれ、はるちゃんのパパは?」 眠気眼をゴシゴシと手で拭う遥香。てっきりパパだと思い込んでいた人が別のひとだと分かると声をあげながら泣き出した。 「頼むから俺の顔を見て泣くな。琥珀に怒鳴られる」 急にそわそわし始める真沙哉さん。 ガキは苦手なんだ、そうぶつぶつと一人言を口にして、 「琥珀を早く呼び戻せ‼」 側にいた部下に慌てた様子で命じた。 大好きな橘さんも、一太もいないことに気が付き、涙を溢ししゃくりあげる遥香。いつもなら寝起きがいいのに。パパとおにいちゃんとままたんがいない。はるちゃんさみしい。おうちにかえりたい。そればかりうわ言のように繰り返し、ますます機嫌が悪くなっていた。 遥香の泣き声につられてか太惺と心望までふぇ~んふぇ~んと泣き出したものだから、琥珀さんが戻ってくる前にそそくさと脱兎の如く逃げ出した。

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