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番外編 焼きもちを妬いてばかりの彼

「貴方がいない間、未知さんがどんな思いで過ごしていたか、分かりますか?」 橘さんが語気を強めた。 「だからごめんって、さっきから謝ってるだろう」 悪びれる様子もなくしれっとして答える彼に、 「はぁ?」橘さんの眉間にどんどん皺が寄っていった。 「太惺が怖がる」 「私だって怒りたくて怒っている訳じゃありませんよ」 「まぁそう目くじらを立てるな。《《可愛い顔》》が台無しだ」 「話しを逸らさないで下さい」 「良かったなモテ期到来で」 「ちょっと遥琉」 多少の事では動じない橘さんが、顔を真っ赤にし珍しく動揺していた。 あくまで彼から聞いた話しだけど、あのあと森崎さんが橘さんにダンナがいても構わない。俺とも付き合ってくれって、交際を申し込んだみたい。勿論その場で断ったみたいだけれど……… 「可愛いを連呼していたもんな」ぷぷと思い出し笑いを浮かべる彼に、 「貴方が余計なことをするから、あのあと大変だったんですよ」 むすっとしながらも心望を子供たちが寝ている隣の布団にそっと寝かしつけてくれた。 「優璃」 柚原さんの声がドアの向こう側から聞こえてきた。橘さんはやれやれとため息をつきながら、すっと立ち上がると部屋から出ていった。 あれからずっと機嫌が悪い柚原さん。仲直り、出来るといいな。

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