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番外編 焼きもちを妬いてばかりの彼

千里さんって呼ばれるよりも、お姉さんって呼ばれた方がいいかな?散々悩んだ末「千里……姉さん」ってスマホに話し掛けた。 『姉さんって呼んでくれるの?やぁだもう恥ずかしい』 千里さんが黄色い声を上げた。 「こころさん、ひろきさん、ささはらさん、こんな僕に、いつも良くしてくれて、ありがとう」 電話越しでも想いが伝わるように感謝を込めてひと言ひと言紡いだ。 『未知~~~』 心さんの声が涙声に変わっていた。 『良かったな喋れるようになって』 『お前は疫病神でも何でもないんだ、誰に何を言われようが胸張って生きろ』 裕貴さんと笹原さんの力強い励ましに感無量になりながらただ頷くだけで精一杯だった。 『未知が誰よりも家族想いなのはみんなわかってるわよ。遥琉には勿体無いくらい素敵な姐さんだってみんな言ってるもの。神様はちゃんと見ててくれたのよ、真っ正直に生きる未知の事を』 ただでさえ泣き虫なのにそんなこと言われたら我慢できなくなるのに。 ズズッと鼻水を啜ったら、彼に笑われてしまった。 「お前らこれで満足だろ?」 肩に浴衣を羽織らせるとスマホに手を伸ばした。 「じゃあ切るぞ」 『ちょっと待て!切ったら親子の縁を切るぞ‼』 あっ、この声の主は・・・ 「……おと……しゃん……」 まさかお義父さんまでいるとは思わなくて驚き過ぎて変な声がでてしまった。

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