490 / 3587

番外編 底無しの憎悪の刃

キョロキョロと睦さんの回りを見回していたら、 「鳥飼は事務所で卯月さん達に捕まってる。もしかして会いたかった?」 ううん、慌てて首を横に振った。 するとクスッと苦笑いをされた。 「まぁ何はともあれ、喋るようになって良かった」 睦さんがジャケットのポケットから真っ白い封筒を取り出して、それをぽんと手渡された。 「湍水さんからどうしても未知に渡してくれって頼まれた」 「わざわざ届けて頂かなくても書留か速達で送って頂ければ良かったのに」 「卯月さんに助けて貰って礼がまだだったから、それはついで」 ありがとう睦さんって声を掛けたら、恥ずかしいのかまたそっぽを向かれてしまった。 リビングのソファーに座り封筒を開封した。 中には手紙と写真が入っていた。 恐る恐る写真を取り出すと、リーさんと腕を組んで歩く女性が写っていた。 整形したのか顔はだいぶ変わっていたけれどその女性は間違いなく彩さんだった。ふるいつきたくなるような妖艶な色気を漂わせ、横に深いスリットが入った派手めのチャイナ服に身を包んでいた。 写真の裏にはサインペンで『李妻子珍珠』と書かれてあった。何の事だろうと首を傾げていると「リーの妻、真珠の意味」琥珀さんが教えてくれた。 橘さんからスマホを借りると何やら操作し、それを見せてくれた。 「リー悪癖」 画面を見るとパールセックスに関して解説していた。 「愛人も情人も接待の道具」 恥ずかしくて身の置き場に困り、画面から目を逸らすと、 「マー恥ずかしがり屋」 琥珀さんに笑われてしまった。 浩然もリーも気に入った女性を宝石の愛称で呼ぶって琥珀さんが。 彩さんは真珠、咲さんはトパーズと呼ばれていたと教えてくれた。

ともだちにシェアしよう!