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番外編琥珀さんと鞠家さん

一週間前、全文中国語で綴られた告発状が警察に届けられた。 昇龍会が組織ぐるみで違法ドラックを密輸し、チャイナマフィアの元幹部の男が中心となり売りさばいているという内容だった。勿論根も葉もないでたらめ。でも火の無い所に煙は立たぬということわざがあるくらいだから警察はすぐに福井さんを呼び出し事情を聞いた。 「否定しても、当たり前だが信じて貰えなかったようだ」 子供達が夕御飯のカレーと唐揚げをもりもりと食べている脇で、男性陣は一様に小難しい顔付きで盃を交わしていた。 お酒が呑めない彼と琥珀さんは勿論お茶。颯人さんは万が一何かあった場合すぐに対処出来るようにと一滴もお酒を口にしなかった。 「琥珀を名指しした時点で底知れない悪意を感じた。福井は琥珀という男は知らない、聞いたこともないとシラを切った」 裕貴さんの言葉に琥珀さんの肩がぴくっと震えた。 「琥珀という名前は今後一切封印した方が良さそうだな。度会紗智だっけ?随分と可愛らしい名前をつけて貰ったものだ」 「そ、それは……その………」 顔を仄かに朱色に染めしモジモジと腰を揺らす琥珀さん。 「さっき鞠家にも言われたんだよな。君みたいにキュートで愛らしい名前だって」 「だからそれは……あの……」 耳まで真っ赤になり恥ずかしそうに俯いた。 真沙哉さんに一度も好きって言われたことがない琥珀さん。 だからこそストレートに熱い想いをぶつけてくる鞠家さんにどう対処していいか分からないみたいだった。 戸惑っている琥珀さんもなかなか可愛い。

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