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番外編 鳥飼さんの本音
事務所より警備が手薄なのを狙って九鬼総業の連中がいつ押し掛けてくるか分からないんだ。いい加減離れたらどうだ。痺れを切らした柚原さんが鳥飼さんにそう言ってくれたお陰で嫌々ながらも何とか離れてくれた。
でも彼に絶対知られたら、また焼きもち妬かれそうなこと少しされたけど・・・・・
「紗智さん、大丈夫?」
がくがくと震える手に自分の手をそっと重ね合わせた。
「マー怖い………俺、どうしたら………」
「紗智さんには鞠家さんがいる。だから大丈夫だよ」
わざと明るく励ました。
「来る訳ないよ、俺のことからかっただけ。誰も俺のこと好きになんかならない」
よろよろと肩を落としながら体を起こすと茜色に染まる空を哀しそうに見上げた。
するとそこに遥香と一太がバタバタと勢いよく駆け込んできた。
「サッちゃんにはいちたがいるよ」
「ハルちゃんも!ハルちゃんも!」
二人とも紗智さんに大好き、そう言ってムギューと抱きついた。
「ありがとうね、一太くん、ハルちゃん。俺嬉しい」ようやく彼に笑顔が戻った。
夜になっても菱沼組と九鬼総業の二次団体の睨み合いは続き、膠着状態のまま時間だけが過ぎていった。
度会さんの家の前にも他県ナンバーの黒いセダンが何台も横付けされていて物々しい雰囲気に包まれていた。いつ何が起きてもおかしくない、まさに一発即発の状態だった。
そんな中、先に行動を起こしたのは九鬼総業だった。
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