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番外編 神隠し

「九鬼総業側に寝返った見返りに青蛇のアンダーボスの椅子を準備する、ボスのリーの側近に取り立ててやる、九鬼総業の幹部を名乗る男から伯父のところに電話があったらしいよ」 「鷲崎さんのところにですか?」 「一月くらいしつこく何度も電話が掛かってきたって。無視して着信拒否にしたら、掛かってこなくなったらしいけど」 「遥さんは戸籍上とはいえ、鷲崎さんの弟です。人質にして、鷲崎さんに寝返るように仕向けるつもりでしょう。鷲崎組が九鬼総業側につけば、おのずと吉柳会も九鬼総業側につくしかありませんからね」 「だからといってパパを巻き込んでいいわけない。パパはカタギなのに」 怒りに拳を震わせた。 「リーは稀代の好色家。しかも両刀使いです。遥さんに危害を加える前に一刻も早く救出しないといけません」 「橘、今……好色家、両刀使いって……嘘だろ?マジか」 直矢くんの声が震えていた。 「リー使えるもの何でも使う。情人は接待の玩具。子供でも容赦ない」 紗智さんが重い口を開いた。 彼が元青蛇のナンバー2だったことは、直矢くんや鷲崎さんも知ってる。でもそれ以上のことは伝えていない。 「リーの狙い俺。だから俺、遥助ける」 紗智さんがスッと立ち上がった。 待って!慌てて彼の手を掴んだ。 「紗智さんを危ない目に遭わせる訳にはいかない。僕が代わりに行く」 「マーは子供達を守る。兄貴にも言われた」 「紗智さんは僕にとって5番目の子供だよ」 何があってもこの手を離さない、ずっと側にいるって決めたもの。だから何があっても絶対に離さない。リーのところには帰さない。

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