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番外編 青蛇VS黒竜

「マーと兄貴、夫婦の時間の邪魔」 「たまには親子水入らず、マーに甘えたらいいんです」 「なら良かった」 橘さんに言われホッと胸を撫で下ろす紗智さん。嬉しそうにおでこを、僕のおでこに擦り寄せてきた。 「ハルちゃんとマー、たいくんに、ここちゃんに、一太。みんな好き。大事なひと」 「彼氏忘れてるよ」 「まだ彼氏じゃないよ」 耳まで真っ赤になって照れまくる紗智さん。 羨ましいくらい幸せオーラを振り撒き幸せそうだった。 それから数日後。 いつものように一太を迎えに一階に向かった。吉崎さんや鳥飼さんが分担して毎日車で幼稚園へ送り迎えをしてくれるからすごく助かってる。 遥香を紗智さんや橘さんに頼んで、 ベビーカーに心望を乗せ、スリングで太惺を横に抱っこし、すぐに家に戻る予定でいたから、スマホだけズボンの後ろのポケットに入れて出掛けた。 「ママただいま」 にこにこの笑顔でチャイルドシートからぴょんと飛び下りるとエントランスに駆け込んできた。 「おえかり一太」 警備担当の若い衆が周囲に睨みを効かせ、ものものしい雰囲気が漂っていた。 でも一太にとっては見慣れた光景。 にこにこと笑いながら、物怖じすることなくみんなにただいま‼と声を掛け場を和ませていた。 「うちに帰っておやつ食べようか?」 「うん‼」 そんな他愛もない会話を交わしていたら、キキキーー!!と急ブレーキをかける音が聞こえてきて。 その直後。 ダークグレーのハイブランドスーツに身を包んだ集団がエントランスに一斉に雪崩れ込んできた。日本人じゃないのは話し方ですぐに分かった。 若い衆が僕達を逃がすため、男達の前に立ち塞がった。

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