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番外編 ママ、一太がいるから大丈夫だよ
僕の体にしがみついて眠る真沙哉さんを起こさないようにそぉーとベットから抜け出し、枕元に無造作に置かれていたスマホに恐る恐る手を伸ばした。
気付かれる前に履歴を消せばバレずに済むかな?あとは何とか誤魔化そう。
『僕も子供達も無事だよ。廃業したどこかのラブホテルにーー』
入力していたら部屋の明かりが突然点灯して。慌てて枕の下にスマホを押し込んだ。
「逃げるなら今だよ」
マーナオさんの肉感的な口角がつり上がった。
「他に好きな男《ひと》いるんでしょ?」
答えないでいたらからかうようにクスクスと笑われた。
うっ…………ん………
真沙哉さんが微かに身動ぎをし寝返りを打った。穏やかな寝顔は見れば見るほど彼に似ていて。
夕御飯に作ったオムライスを一太と競うように美味しそうに頬張る姿も、嬉しそうに笑う表情も。
本当にそっくりで。
大好きな彼や遥香に会えない寂しさから胸がギュッと締め付けられた。
『マーナオ、地竜から連絡は?」
コンコンと遠慮がちにドアをノックする音が聞こえてきた。
「何もない」
『どうやら伊澤と須賀井が嗅ぎ付けたようだ』
「何でまた須賀井が・・・・』
マーナオさん達も、鞠家さんが苦手なのかな。苦虫を潰すような顔をしていた。
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