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番外編 ママ、一太がいるから大丈夫だよ

ドアを開けて廊下に出ると強面の男達にぐるりと取り囲まれた。にたにたと薄笑いを浮かべながら、舐め回すかのように全身をくまなく見られた。 「マーナオ手を貸せ。早く‼」 血相を変え真沙哉さんが声を張り上げた。 「チィェン ダー ジィェン ウー シァ(お前達、見せ物じゃないよ。下がれ‼)」 マーナオさんは怖いくらいに落ち着いていた。 「嘘ついた訳じゃないよ。アイツらが物珍しい生き物を味見したいっていうからさぁ」 悪びれる様子もなく鼻先でせせら笑うマーナオさん。 一太はじっと睨むように彼を見上げた。 「ママをバカにしないで!」 「さっきから黙って聞いてれば。小生意気なガキだね、無性に腹が立つんだけど」 むすっとし手を高く掲げるマーナオさん。 一太は彼を見据えたまま逃げようとはしなかった。 「止めろ!」 がしっとマーナオさんの細い手首を鷲掴みしたのは地竜さんだた。 「大人気ないぞマーナオ」 「だってムカつく。てか何でいるの?」 「戻ってきて悪かったな。マーナオ、相手は幼稚園児だぞ。本気になってどうする」 興奮するマーナオさんを笑顔で窘める地竜さん。 「浩然もだ。上海に帰ったら幾らでも出来るだろう。少しの間だ。我慢しろ」 ベットの上に転がる小瓶と錠剤を拾うと胸の内ポケットに押し込んだ。

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