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番外編一太と地竜(ディノン)さん

「そう睨むな」 頬っぺたをこれでもかと膨らませる一太にほとほと困り果て、さっきからため息ばかりついている地竜さん。 僕と一緒に寝たいと駄々を捏ねる真沙哉さんに、お前の抱き枕はマーナオだろ。そう言い返し、地竜さんが普段寝起きしている同じフロアーの別の部屋に連れていかれた。 「クスリを飲ませられ、万が一ショック死されたらそっちの方が後始末が面倒だ。赤ん坊の面倒、誰がみるんだよ」 地竜さんがぶつぶつと独り言を口にしながらトイレに錠剤と小瓶の中身を流した。 「やり残した仕事がある。俺に構わず寝ろ。一太お前もだ」 パソコンが置いてあるベットの脇のテーブルに腰を下ろす地竜さん。小難しそうな表情を浮かべ画面を覗き込んだ。 「ママおうちにいつかえれるの?」 不安で堪らないのだろう。 ベットに横になるなり、目をうるうると潤ませ、今にも泣きそうになる一太。 「お利口さんにしていれば帰れるよ」 「ほんとうに?」 「うん」 不安を一掃させてようとわざと明るく振る舞った。 それから数分後ーー ぐすりながらもようやくうとうとし始めた一太。 ほっとし一息ついたのも束の間。今度は太惺と心望がふぇんふぇんと泣き出した。

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